「ねぇあれって三井住友海上のイケメンSEVENの人じゃない?」
「絶対そうだよ!だってほら、」
どこにいってもチヤホヤされちゃう彼らはここらじゃ有名で。
こうして一緒にランチに出ようものならこんな風に注目の的になるのも仕方のないこと。
現に彼らは世間一般以上の美を放っている。
まぁうちのエースはなんと言ってもここにはいない岩ちゃんだけれど。
だからこうやって隠し撮りされたり、コソコソされたりも慣れている。
「ちょっとトイレ。」
静かに席を立ったわたしは、このざわめきの中から消えるようにお化粧室へと行った。
八木くんは当たり前に接客を続けていて、わたしのことなんて気にもかけていないって分かってる。
せめて声を聞いていたかったのに、これじゃあギャラリーが煩くて何も聞こえやしない。
かと言って今更帰す訳にもいかないし。
はぁー…。
手を洗ってトイレから出ると、澤本店長が出勤してきたのか、すれ違った。
まぁ勝手に知ったかしてるんだけど、わたし。
「ゆき乃さーん、土曜日フットサル空いてるかなぁ?」
戻ると美月がわたしにそんな質問。
視線を臣に移すと「悪い、言うの忘れてた!」顔の前で手を付けてペコっと頭を下げる。
「土曜日って明日じゃない、もう。ちょっと聞いてくる。隆二、それ食べていいよ。もうお腹いっぱいだから。」
中島くんが作ってくれたローストビーフサンドを隆二に託すと嬉しそうに齧り付いた。
スマホと手帳を持ってレジの前を通るわたしを、ほんの一瞬八木くんが見た気がしたなんて。