結局、イケメン営業が来たせいで、わたしの唯一の癒しがぶっ壊され、お昼ご飯もあんまり食べられずにドトールを後にした。
帰り際に中島くんの「またお待ちしています!」ってちょっと舌っ足らずな明るい声がしただけで、八木くんはこちらを見てもくれなかった。
それを悲しく思うなんて馬鹿な事はしないけれど、わたし一人だったら会釈ぐらいしてくれたかなぁ?なんて思うとちょっとだけこの状況が憎らしい。
一歩ドトールから出るともう、わたしと八木くんはお店のスタッフと常連客でもなけれぱ、ただの他人と変わる。
名残惜しく振り返ったわたしに、中島くんと話してる八木くんの笑顔が目に入る。
…あ、可愛い。
目を細めてアヒル口で笑う八木くんに、やっぱりどーにもこーにも胸がトクンと小さく音を立てるんだ。
「ゆき乃さんの行きつけがまさかのドトールだったとはなぁ!でも結構美味かったし俺もまた来よ。今度は2人で行こうよ?ね?」
隣を歩く隆二は当たり前にわたしを歩道に入れて守ってくれるような紳士。
段差があれば一言「そこ気をつけて。」なんてサラリと声をかけてくれ、万が一何かあった時にはしっかり守ってくれるんだって分かる。
今までの隆二はちゃんとそうしてくれてきたから。
「うん、そのうちね!」
隆二の気持ちは知ってるし、それらしい事を言われることもある。
でもこの心の中に生まれた気持ちに、表面上は蓋をしているものの、嘘はつけそうもないんだ。