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「あの、俺ってそんなダメ男っすかね〜」


いつの間にか直人が汐莉さんの隣で愚痴っていて…「ん〜…」て出す声もいい。


「そんな真剣に答えなくていいよ」


そう言いながらも、又あの長い髪に手を通すとフワって笑った。

バクバク…なのか、ドキドキ…なのか、俺の心臓は高速に波打っていて、その想いは勝手に大きく大きくなっているような感覚。

そんな楽しい一時はあっという間に過ぎて、そろそろ終電を気にして帰り支度に入る奴らがチラホラと見え隠れしていた。

仕方なくお開きにする俺に…


「じゃあ最後に幹事の篤志くんから一言お願いしま〜〜す!」


悪乗りゆき乃がそう言った。

みんな拍手なんかしやがって…

俺がこーゆーの大嫌いなこと知ってるくせに、くっそう!

でも、そんな笑ってる奴らの中で、汐莉さんだけは俺を真剣に見ていてくれて…

こーゆう真剣な表情も、好きだな〜なんて思うわけで。


「あ――…お疲れさんでござんした。…今日はいつも会社で溜まったうっぷんを晴らせたんじゃないかと思います。…じつは皆さん気づいてるかと思いますが…」


そう言って汐莉さんを見ると、やっぱり俺をずっと見ていて。


「S経理の汐莉さんを呼んでまして…。本当に彼女には俺が仕事する上で助けて貰ってます。無理な相談も真剣に聞いてくれて…本当に汐莉さんがS経理の人でよかったって思ってます。何より、今日一番ここに来て欲しかったのが彼女で…。これからも、みんなそうやって支えあっていい仕事していきましょう!以上!」


パチパチパチパチ…鳴り止まない拍手は、みんな汐莉さんに宛てていて、俺はそんな汐莉さんを誇りに思った。

恋に落ちるには充分な飲み会だったと思う。