「篤志くん女の人は全てにおいて決定事項を伝えて貰いたいもんだよ?例えばそれがお互い同じ気持ちでも”好き“って一言聞くまでは不安なんだと思う。この前の飲み会からして、俺が見てもイケルと思うから頑張れよ!」
「うん」
「素直でいい子」
ケンチがフワって俺の髪に触るから「調子のんな」ってどついたら「痛〜い」って後ろにひっくり返った。
分かってるよ、“好きだ”って言えばいいんだろっ!
すすすすすすす…好きだ……
んな恥ずかしいこと言えんの、俺…
いや何が何でも直人より先に。
そう思いながら過ごしていたらあっという間に約束の時間になっていて、俺は慌ててタイムカードをスキャンして待ち合わせ場所のカフェ;はぴねすに行った。
「…何してんだよ」
「あぁ、篤志さん!たまたま汐莉さんと会っちゃいまして…一緒に飯でも行きませんか?って話してた所っす」
最悪!
何でよりによってお前だよ、直人…。
不機嫌丸出しな俺はとりあえず汐莉さんの隣に座って煙草を一本吸った。
「じゃ、行こっか」
煙草を灰皿で消すなりそう言って、汐莉さんの腕を掴む俺。
同時に立ち上がった直人を一睨みする俺に「ん?」ってまるで俺の気持ちを読み取れないKYな直人。
「直人!」
「なんですか?」
「今日は遠慮しろ。俺汐莉さんと“二人きり”で飲みたいの!」
“二人きり”を超強調してそう言ったら「分かってますよ」って笑いやがった。
「香澄ちゃ〜〜ん、ご飯行かない?てっちゃんには内緒で」
既に俺らには目もくれない直人。
なんかちょっと拍子抜けしてしまう。
でも、勢いで掴んだ汐莉さんの腕を離す気もなく…
「じゃ、行こう」
そのまま引っ張って歩き出した。
タクシーに乗り込んだものの、二人とも無言で…っていうより、俺はいつその言葉を言おうかずっと考えているんだ。
汐莉さんはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、窓の外を眺めている。
掴んだ腕をクイって引っ張って、俺はそのまま指を絡めた。
その行動に汐莉さんがこっちを見て。