こんな時は近寄らない方がいいって、こっそり亜嵐さんが言っていたのを思い出した。
そんな哲也さんに空気が読めないらしい直人さんの言葉…
「なにごとよ?」
直人さんがそう言うとジロっとこっち側を睨む哲也さん。
本気で怖いです…。
「お前昨日どこにいた?」
「へぇっ?」
「どこにいたか聞いてんの!」
完全にヤクザ化している哲也さんは圧倒的なオーラと言葉遣いで、思わずビクっと肩を竦めた。
「昨日は飲み会で“一郎”にいたけど?」
「だよな俺もいた!ついでに香澄もいやがった!あいつコンパなんてして…ブッ細工な男に言い寄られやがって!まぁ、俺がすぐ助けたけど…つーか何でコンパなんて行くんだよ?」
酔っ払ってる?
ってくらいに哲也さんは一人で激怒している。
でもその内容というか理由はちょっと可愛らしい。
なんて口が裂けても言えないけど!
「そりゃ香澄ちゃんだって彼氏の一人くらいいるんじゃないの?」
「アホか!好きでもない奴と酒の勢いでヤってもいいわ的なもんだろ、コンパなんて!」
「え、そうなの?最近のコンパはそんな感じなの?」
逆にそう聞き返した直人さんは、哲也さんに物凄い眼力で睨まれてしまうわけで。
あたしに助けを求めるみたいな視線を飛ばすけど、コンパなんて行かないから分かるわけもなく…
「それは人によりけりなんじゃないでしょうか…」
「……」
しまった、言っちゃいけなかったかも。
そう思っても一度口に出した言葉を取り消せないって分かっているのに、なにやってるんだろうあたしってば、もう…。
哲也さんの言う「香澄」は、このカフェ;はぴねすのバイトの香澄ちゃんの事のようで、亜嵐さんと一緒の時から密かに香澄ちゃんと仲がいいなぁって思っていたから、単純に心配しているものかと思いきや、どうやらそれだけじゃなさそうに見える。
「俺アイツが他の男に触られてんの見てカッとしてまじ殴ってやろうかと思った。胸糞悪りぃ」
きっとそう絶対にそう…
「大好きなんですね香澄ちゃんのこと」
思わず言ってしまったあたしの言葉に、瞬時に哲也さんの視線が飛んできたから「余計なお世話だった」って思ったけど、見る見るおとなしくなる哲也さん。
さっきまでの威勢のかけらもない。