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何だか一人で考え込むような仕草で。

それは3分程度だったと思う。


「なんで、そう思った?」


静かな口調でそう聞いた哲也さんからはもう、怒りは感じなくて逆にほんのり優しさを帯びている。

ジッとあたしを見つめる強い視線に負けそうになりながらも、あたしはしっかりと哲也さんを見据えた。

そして―――「ヤキモチですよね?」…そう続けた。

だって香澄ちゃんが他の男に触られているのが嫌でコンパ自体許せなくって…てそれはもうヤキモチ以外の何でもないってあたしじゃなくても分かるんじゃないのかな。


「あぁうん…そうかも俺…」

「えぇっ?」

「…好きかも香澄のこと…」


カァ――…

見る見る真っ赤になっていく哲也さんはもうさっきから思ってたけど、可愛い以外の何でもなくて。

こんな風に自分でも気付かないうちに恋は始まっているものなのかもしれないって心底思った。

その気持ちを認めてしまったらもう引き返せないし止められないって自分で分かっていて、だから最初のうちはただの思い過ごし…みたいに自分で自分の気持ちを誤魔化したりするけど…

それでも、人から見たらあたしだってそう。

冷静になれない自分を他人が見たら人の気持ちなんて簡単に読めてしまうものなのかもしれない。


「え、まさかてっちゃん今の今気づいたの?」


最初から知ってました、みたいな顔で本当に吃驚した声を漏らす直人さんに苦笑いを返す哲也さん。

この哲也さんでも恋に気づかない事があるなら、昨日の今日で気づいたあたしは中々なんじゃないかって思う。


ただ。

こうやって誰かのお陰でも何でも自分の恋に気づく事が出来た人達は、これからが勝負だって思うわけで。

この気持ちを今度は本人にどうにか伝えなければ幸せなんて掴めやしないんだ!


そう思うけど…。


結局亜嵐さんとこの日は一度も会えなくて。

よく聞いたら「お休み」だったみたい。

あたしがそんな事を先輩に聞いたもんだから先輩達はあたしを変に思ったかもしれない。

でももう引けないって思う。

そう思ってた矢先の事だった。

亜嵐さんがやる仕事の〆切が明日だったことを思い出して、よく見るとその書類は未完成のまままだ亜嵐さんのデスクにポツンと置いてある。

フロア内の時計に視線を移すともう夕方…。

先輩達はお茶が長いから今だに戻ってこなくて…。