K




「あの時は哲也さんに言われてついあぁ答えてしまったんですけど…あたしそれから気付きました。ずっと亜嵐さんの事ばっかり考えてる自分がいるって。だからあたし…」


そこまで言ったら目の前の亜嵐さんの表情がみるみる明るくなってあたしの言葉を待っている。


「好きです…亜嵐さんが」

「ほんとに?!」

「ああああ―――!」


えっ?

亜嵐さんの声に被さる様にどこからか聞こえてきた声に振り返ると、そこにはこっちを指差している直人さんの姿。


「直人さん!」

「なんで?ど〜して?どーして俺に幸せは来ないのよ?」


…――――知らないです。


「相手が悪いんじゃないっすか?」


シレッとあたしの後ろから亜嵐さんの声が飛んできて。


「あ〜やっと俺のオモリも解消されたぜ!はー…よかった、よかった」


口ではそう言いながらも亜嵐さんを見つめる哲也さんの視線は優しい。

そんな哲也さんの隣には、カフェ;はぴねすの香澄ちゃんがいた。

わ!うまくいったんだ二人…すごーい!

お似合い!

なんて思っていたあたしにトンッと書類を差し出したのはゆき乃先輩。


「完成!梨沙ちゃんに感謝しなよ亜嵐」


そう言ってゆき乃先輩は大きく伸びをすると椅子から立ち上がった。


「あのっどうもありがとうございました。本当にありがとうございました」


頭を下げるあたしに「全然」ってゆき乃先輩が言ったらカタンと音を立ててフロアの入口に男の人が入って来た。


「終わったわーゆき乃帰っぞー」


確か良平さんでゆき乃先輩が嬉しそうに良平さんの腕にくっついた。

そんな光景を見てドキッとしたのは言うまでもなくて。

すごくすごくお似合いだった。

ガヤガヤしていたフロアが静かになってここにはあたしと亜嵐さんの二人きりになった。



「あの、どうして来たんですか?」

「あーゆき乃さん」


見上げた亜嵐さんは何故かちょっとだけ引き攣っている。

そんな亜嵐さんに首を傾げて次の言葉を待つあたし。


「うんまぁ…」


言いづらそうな亜嵐さんを覗き込むあたしに、苦笑いのまま手に持っていた携帯を開いて出ているメール画面を見せてくれた。