「分かってたの?」
「まぁ…。言われたわけじゃねぇけど、よく見られてんの分かってた。でも…」
「ゆき乃ちゃん泣いてたよ。いつも元気いっぱいのゆき乃ちゃんが、壊れちゃいそうなくらいに弱くて泣いてた…。黎弥くんごめんね…あたし黎弥くんの彼女になる子は絶対に幸せなんだろうなってずっと思ってた!でもそれが自分だってどうしても思えないの。いつもいつもみんなの笑顔の元にいるゆき乃ちゃん泣かしてまで、思えないの!!」
「ゆき乃がいなくてもダメだった?」
ほんの少し震えた黎弥くんの声に「うん」って小さく頷いたら、「仕方ねぇや」って小さく笑った。
本当に嬉しかったよ。
でもやっぱりあたし、黎弥くんの彼女って存在まで黎弥くんを好きでいられない。
ゆき乃ちゃんみたいに体全部で黎弥くんのこと好きだって言い切れない…
それがあたしの応えだよ。
―――――――――…
「どうしたの?」
屋上から戻ると美桜ちゃんが優しい声でそう言うから…
だからあたしは美桜ちゃんの腕をギュっと握り締めた。
ここで泣いたらゆき乃ちゃんにバレちゃうからって、必死で涙を堪えたんだ。
「そっか、断ったんだ」
俯くあたしに美桜ちゃんがそう言った。
「莉子はさ、黎弥くんに“ごめんなさい”するのに、ゆき乃ちゃんのこと以外にも引っかかってることあるんじゃないの?」
確信をつく美桜ちゃんの言葉にあたしは俯いた顔を上げられない。
あの日からずっと頭にこびりついて離れない長谷川くんの姿。
二人きりの時はあたしのことすごい構ってて、あたしもちょっとその気になっちゃいそうな雰囲気だったのに…。
「あるかも…しれない」
そう答えた声はもう震えが混じっていて、どうにも最近涙腺が緩んでばかりだ。
でもこんなことで泣くあたしを美桜ちゃんは笑うわけもなくって、やっぱりあたしに優しかった。
陸くんに愛されているんだなって、そう感じずにはいられなくて。
「気になる人いるんでしょ?」
「うんなんか…たぶん…」
「うん、そう見えた」
「え?見えた?」
「うん、だって莉子最近可愛くなったもん!恋してるんだろうな〜って」
あたし、そんな風に見えてたんだ。
まさか他にも気づいてる人いたのかな…。