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醸し出す哲也さんのオーラが本気モード全開。


「テメェいい加減にしろやっ!落ち込むのは勝手だけど、俺の香澄にまであたってんじゃねぇぞ、コラ!」


ごもっともな哲也さんの怒りといつも優しい香澄ちゃんに悲しい顔をさせてしまった罪悪感はあるものの、どうにも苛々は収まらないんだ。


「離せよ、てっちゃん」


力の限りに哲也さんの腕を掴んで胸元から離すと椅子をガタンって倒して俺はカフェ;はぴねすを出て行った。

こんな風に友達を巻き込んで傷つけてしまう自分がムカツク!

頭では分かっているのに何とも思い通りに行動できなくて。

どうしようもなく人に当たるしかできない自分が嫌で仕方ない。

ただ誰かに認めて欲しいのかもしれないんだ。

ゆき乃は良平さんのものだって分かってるけど、俺の気持ちを理解して貰いたいのかもしれない。


―――――――――…


「はぁ〜…」

「もううるせぇな、さっきからなんだよ直人くん」


勘弁しろよって顔で反対側に座る敬浩くんが俺に声をかけた。


「なんすか?俺今余裕ないんで出来れば話しかけないでもらいたいんすけど」


思いのままを言葉にすると一瞬目を大きく見開いた敬浩くんは次の瞬間、口端を少しあげてニヤリと笑った。

その笑顔にほんの一瞬嫌な予感が走った。


「ショックなんだろ?ゆき乃のこと…」

「えぇ、まあ」


カチカチPCで資料を作成しながらも、目線はいそいそと動いているゆき乃の背中ばかりを追っていて。

仕事の引継ぎをしているゆき乃は俺の視線になんか気づくわけもない。


「まぁ潮時なんじゃねぇの?」


哲也さんと同じような事言ってやがる。

あえて聞こえないフリをして俺は敬浩くんを無視した。


「お前がどうなろうとゆき乃の結婚もゆき乃の退職も決まった事だからな」


それはまるで俺に釘を刺すかのような言い方で。

だから何も問題起こすんじゃねぇぞ!…そう言われているように思えた。

まぁ確かに敬浩くん達は同期だし本当に仲良いし。

最初から俺の入る隙なんてどこにもなかったのに、いつまで俺はその隙間を探してしまうんだろうか。

ゆき乃が良平さんを諦める事ができなかったのと同じで、俺もゆき乃を諦める事ができそうもないんだ。

ただ一つ、ゆき乃の良平さんへの想いが実ってしまったから、俺のゆき乃への想いを実らせる事は永遠に不可能だと。