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「最低だな、俺…」

「あはは、そんなに落ち込まないでよ。あんなことぐらいで直ちゃんの事嫌いになんてなれないんだよね、あたし」


見るとゆき乃が優しい笑みを浮かべていて、鼻の奥がツーンとしてくる。


「ごめん、でも…本当にごめん。…ずっとゆき乃だけが好きだった…ずっとそう言いたかった」


気持ちを言葉にしたら女みたいに涙が溢れてしまいそうで、俺はゆき乃から目を逸らして天井を見上げた。

ゆっくりと呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせる。


「うん、ごめん。あたしは良平しか見てない。良平以外の人は好きになれない。これから先もずっと」

「分かってる」

「ねぇ直ちゃん。あたし直ちゃんを愛してあげる事はできないけどね…友達として直ちゃんがいっつも側にいてくれた事がね、すごい支えになってた。良平が莉子さんに告白した時も、あたしの事誰より先に助けてくれたのって直ちゃんだったでしょう。あの時本当に救いだった。自分じゃどうする事もできなくて、もう何もかもが嫌になってしまったけど、直ちゃんずっとあたしの側にいて励ましてくれて…どんなに嬉しかったか。良平への気持ちとは全然違うけど、あたしの人生直ちゃん無しじゃ成り立たないの。良平だけが必要な訳じゃないの。だから…―――」


そう言ってゆき乃は、ちょっと緊張したように息を大きく吸って真っ直ぐに俺を見つめた。


「だからね…―――友達として、これからも側にいて欲しい。迷惑じゃなければ…」

「ははっ…」


普通こういう時って、フッてる方は気を使うもんだと思っていたけど、ゆき乃はこんな風に真っ直ぐな人だった。

自分の気持ちに真っ直ぐで、そんなゆき乃だからこそ、俺は好きになったんだと。


「残酷?酷い奴?でもそれでもやっぱりあたし、直ちゃんは必要で…」

「当たり前だよ、そうなりたくて俺、ずっとゆき乃の側にいたんだもん!これからもいくらでも側にいるよ」


クシャっと笑うと、安心したようにゆき乃も笑った。

やっと心の中の汚いもん全てが解き放たれた…そんな穏やかな気分だった。


「よしじゃあ一緒に来て直ちゃん」

「え、なに?」


強引にゆき乃に連れて行かれたのは、沢山の人のいる中心部。

抜け出して俺の所にきてくれた主役のゆき乃が戻ったことにより、又いっそう大きな歓声と共に迎えられた。