悲しみ越しの幸せ11


【side 黎弥】




「へ〜え!毎日いいね〜」

「ん?」


ゆき乃が作った弁当は本当に美味くて俺はひそかに楽しみになっていた。

男の一人暮らしじゃ料理なんて滅多にしないから基本外食の俺は、残業続きの時はコンビニ弁当に頼っていた。

出来るなら温かいものが食べたいから、どんなに遅くても家に帰って温めてから食べるようにしていて。

ゆき乃の弁当は毎日温かくて、それを疑問に思うことすらなかった。


「愛されてるって思わないの?」


部署が違う陸が珍しく俺の席にやってきてそう言った。


「…そらなー」


つーか自分で言うのってすげぇ恥ずかしいし。


「女の人って、好きな人の為に何かするのが生きがいだよなぁ」

「なんだよ?」


遠回しに言う陸がちょっと歯痒く感じる。


「え?…昼休みもずっと料理本見てたぞゆき乃。毎日定時で帰って弁当作って黎弥に届けるなんて健気だなぁ〜って。本当に好きじゃないと毎日なんて出来ないだろなって」


ニコニコしながらそう言った。


「…これ、レンジでチンしてんじゃねぇの?」


驚いてそうぼやいた俺に陸が「アホ言うな、ボケ」一切笑わず答えた。


「もっとゆき乃の事見てあげろよ」

「見てるわ!!」


そう言ったのは本当に心から思ったからで。

陸に言われて悔しいって部分がなかったわけじゃねぇ。

正直俺があいつの事1番分かってるくらいの感覚で。

ゆき乃が俺を好きだから、俺が1番ゆき乃を理解してるなんて思ってたけど…