「それなら早く言ってやれ」
「言うっつーの」
思わずそう答えた俺に陸は嬉しそうに微笑んだ。
「あんなに想ってくれる子、そうそういねーよ」
本当に陸の言う通りで。
ずっと莉子だけを見てきた俺は莉子にフラれた途端ゆき乃に逃げた。
莉子に「ゆき乃ちゃん泣いてた」って言われた時、心の奥では嬉しかったんだと思う。
そら、莉子に届かなかった想いは辛いけど、正直莉子が俺を好きになることはねぇかな…って分かってた部分もある。
莉子にフラれて辛かったけど、俺にはゆき乃がいるなって無意識にもそう思っていたんじゃねぇかって思う。
「陸、俺…ちょっと泣きそうだ」
温かい弁当を握りしめて肩を落とす。
「女の人にはちゃんと言葉にしないと、案外伝わってないもんだぜ。まぁ、女に限らないけどね!」
ポンと、温かい陸の手が俺の背中を押した。
それから俺は、ゆき乃の行動を目で追うようになった。
真面目に仕事してんのかと思ったら、PC画面には『初めてのお料理』サイトが開かれていて、それをメモ取りながらブツブツ言ってたり。
隣の席の夏喜と仲良く話す姿は、正直苛っとした。
馴れ馴れしくゆき乃にスキンシップする夏喜が憎くも思えて。
「あいつらあんな仲良かったのかよ」
「は?何か言った?」
竜太が俺の独り言を拾いやがって、「なんでもねぇ」って言う俺はそそくさと自分の席に戻った。