【side ゆき乃】
「おいゆき乃、黎弥がお前の事見てたぞ今!」
「えっ!?」
突然竜太くんにそう言われて黎弥の席の方を見るけど、あたしを見てる気配すらなくって…
「見てないじゃん。もーやめてよそーゆうの…」
一瞬期待しちゃった自分が物凄く恥ずかしくなる。
「だから¨今¨っつった!今は見てねぇけど、さっきの¨今¨は見てたんだって。夏喜とそんなに仲良かったのかよ?みたいな事言いながらなぁ!」
「えー!それって黎弥さん俺にヤキモチ妬いたんじゃねぇの?」
なっちゃんがあたしの頬っぺたをツンツンしながらからかう。
次の瞬間…
バンッ!!
視線の先には書類をデスクに勢いよく置いた黎弥の姿。
ほんの一瞬あたしを見た気がして…
竜太くんの言う事が本当だったらいいのに…
そう、思わずにはいられなかった。
「黎弥!」
「………」
あれ?何か…
「怒ってる?」
後ろ姿にそう言ったらこっちを向いてあたしをジッと見る黎弥。
「別に怒ってねぇよ」
そう言う口調がもう怒っていて。
「後ろ姿も声も怒ってるじゃん!」
そう言ったら小さく溜息をつかれた。
煩いって思われた?
干渉すんなって思われた?
ウザがられた?
「お前ほんっとに俺のことよく分かるんだな…」
そう言ってちょっとだけ黎弥が笑った。
そのままダランと伸びてるあたしの手をキュッと握る。
途端にあたしの心臓がバクバクいって顔が熱くなって。
「だったら俺が何考えてるか当てろよ」
「えぇ…?」
「ずっとモヤッとしてんだよ。なんか夏喜とばっか話してて…」
ジーっと見つめたままそう言われて…
決して目を逸らさない黎弥に倒れそうな程ドキドキしているあたし。
こんな黎弥、初めてで。
熱い視線は莉子さんのものだって、ずっとそう思ってきたから。