「黎弥、どうしたの?」
「お前のせいだ」
「あた、し?」
「…つか、今度飯でも行こ。弁当のお礼…」
「え、うん…え、いいよっ、そんなの!あたしが好きでやってるだけだもん!」
急に話題が変わっちゃって思わず話に流されそうになったけど、あたしの言葉に黎弥は又少しだけ笑っている。
「俺と飯行くの嫌?」
下から見つめあげる黎弥は色っぽくて、繋がった指先はとても熱い。
こんな展開慣れてなくって目眩がしそうなあたし。
「嫌な訳ないよ…」
そう答えるあたしに、ほんの一瞬黎弥の指が強さを増して。
でも次の瞬間、あたしを握る黎弥の手が緩んだ気がした。
「そ、でも今日はもう帰れ」
時計を見てあたしにそう言って。
やっぱり、離そうとする黎弥の大きな手を、あたしはギュッと強く握った。
「もう少しだけ…」
「無理!帰れ」
どうしてか、急に冷たくなった。
あたしと目を合わさないようにそう言って黎弥はスッと手を離した。
なんで?
あたし何かした?
そう聞きたいのに聞けない雰囲気。
せっかく少しだけ、黎弥に近づけた気がしたのに…
やっぱり気のせいだったのかな…
そんな簡単に気持ちが変わるなんてこと、ないよねそりゃあ。
切ない気持ちを抱えたまま、あたしは星空の下を歩いて帰って行った。
あたしが黎弥にお弁当を作り始めてから二週間。
ようやく残業Daysが終わったその日、適当に理由をつけて又飲み会が開催された。
悲しくもその場所は大惨事を味わったのと同じお店で。
トラウマのせいか、あたしは素直に莉子さん美桜さんのテーブルには座れなくて、仕方なくなっちゃんとまこっちゃんの間に座っていた。
相変わらずなっちゃんはあたしに優しくて、あたしはすっかり忘れていたんだ。
そのデジャブを見るまでは。