キスがお預けになってしまった事をちょっと残念に思うあたしと黎弥はきっと同じ気持ちで。
聞こえる二人の話し声に…
あぁ、莉子さんはまこっちゃんの事が好きなんだ…
そう思った。
あたしに対してヤキモチを妬く莉子さんが物凄く可愛いけど…
黎弥からしたらやっぱり複雑なんだろうな…って思う。
仮にも自分が好きだった人が他の人を想っているんだから。
繰り広げられる告白にあたしは不安げに黎弥を見つめると、あたしを抱きしめたまま優しくあたしだけを見ていて…
もう不安になる事はないんだ!ってそう思えた。
どうやらこの二人両想い確定みたいで、めちゃくちゃいい雰囲気。
「邪魔してやろーぜ」
ニッて笑った黎弥は、チュッてあたしに不意打ちのキスをした。
「待って黎弥。やだよもっとちゃんとキスして」
行こうとした黎弥の腕に抱きついて引き止める。ほんの一瞬あたしを見つめた後、眉毛を下げて黎弥がコツっとおデコを重ねた。
「今キスしたら理性飛ぶかもよ?いいの?」
「もうとっくに飛んでる、」
そう言うがあたしは背伸びをして黎弥の首に腕を巻き付ける。今この瞬間が不安だからなんて事じゃなく、ただ黎弥の愛を独り占めしたくて。
迷うことなく唇が重なると、ハムっと黎弥が唇を何度か甘噛みする。それが心地好くて小さく吐息を漏らすと耳朶をカプッて噛んだ黎弥が「感じすぎ。ばーか!」小さく笑った。
隣ではまさにまこっちゃんと莉子さんが見つめあったところで、
「キス邪魔したらあいつら悶々するぜ!」
黎弥の言葉に頷いて、飛び出すあたしの左手をしっかり握ってくれた黎弥と二人久しぶりのコントを莉子さんにお見舞いした。
「超、最悪」
聞こえたのは不機嫌なまこっちゃんの声で。
あたしと黎弥によってこの二人もキスを邪魔されたから。
でも、元々はあたし達が邪魔されたんだけど。
それは、勝手なあたしと黎弥の事情なんだけどね!
そんなあたし達のいる飲み屋の外階段に、いつの間に心配してか?野次馬なのか?あたし達を囲むようにギャラリーを演出していたなっちゃん達がそこにいて。
見つめる竜太くんの瞳は優しくて、ほんの少し悔しそうななっちゃんの顔。
「黎弥」
「ん?」
「黎弥が今考えてること、分かる。だから早く帰ろう?」
フハッ!ってあたしの言葉に黎弥が笑った。
ずっと見てきたんだもんあたし。
黎弥の顔色なんてすぐ読めるよ。
でも、その前に…