フワっと目の前に突如現れたのは長谷川くんのドアップで。
あの後、資料室で調べ物をしていたあたしはいつの間にかボケっとしていたらしく、顔を覗き込まれて心の底から吃驚した!
全体重を後ろにかけたせいで、残念ながら椅子ごと後ろに倒れそうになったのを長谷川くんの片手がスッと押さえた。
「大丈夫?」
「…大丈夫じゃないよ!いきなり吃驚したから」
いかにも長谷川くんのせいだよ!って言うようにわざとそう言ったけど、長谷川くんは目を細めて笑うだけで。
「悩み事?」
「え?あたし?」
「うん、あたし!」
チョコって自分を指差すあたしと同じように、長谷川くんの綺麗な指があたしの鼻をつついた。
「まさか!!」
「そう?何か難しい顔してたから」
そう言って眉間にシワを寄せる長谷川くんは、じつは密かにあたしの中でのドストライクゾーンで…
甘い表情が溜まらなく好きだったり…
でもそれは恋愛感情って訳じゃなくって。
もし付き合うなら?
美桜ちゃんには悪いけど、陸くんみたいな人がいいって思っている。
そもそもそんなガールズトークは日常茶飯事で、あたしと美桜ちゃんとゆき乃ちゃんは、よくよくそんな話題で盛り上がっていた。
美桜ちゃんは陸くんって人がありながらも、広報の健太くんがかなりのお気に入りだったり。
陸くんには内緒の美桜ちゃんの弱みだったり!
そういえばゆき乃ちゃんはいつもあの同期の三人(黎弥くん、日高くん、北人くん)と一緒にいるけど、その手の話題の時っていっつも適当に逃げられている気がする。
ゆき乃ちゃんが誰を見ているかなんて、はたから見たらすぐに分かるものなのかもしれないけど、どうにも恋愛に疎いあたしはそんな事にすらも気付かなくて…
気づけなかったことを、後々後悔することになるんだ。