「ちょ、美桜ちゃん何してんのっ?」
そう莉子の声が聞こえたのはもう意識が遠のく寸前で…―――
「陸くん、美桜ちゃんがっ!」
バタバタって足音と陸ちゃんの温もりを感じた気がしたんだ。
あたしのことを馬鹿だと思うなら笑えばいい
あたしを見て同情するならしたらいい
誰にどう思われても、あたしは陸ちゃんを離したくないんだ!
―――――――――…
パチ…。
気づいたのは病院だった。
目を開けたあたしの視界に入ったのは、こっちに背を向けている陸ちゃんとあたしをしっかりと見ている北人くん。
目があった北人くんはあたしを見ても無反応で、むしろそれが「いいから黙っとけ」って言われている気がして、あたしは又そっと目を閉じた。
「あんま自分を責めなくても、陸さん」
「…俺美桜の気持ちに何も気づいてやれなかった」
沈んだ陸ちゃんの声。
自分の事責めてる時の陸ちゃんの声に、あたしは自然と胸が熱くなる。
「ねぇ、何で今更サチコさんが戻ってきた?」
「デザイン課でいい成績上げて上にいくって…したら海外いけるかもしれないって…チャンスだから協力して欲しい…って言われて」
「陸さんそれ美桜さんにちゃんと言いました?」
「余計な心配かけたくなくて」
静かな病室に響き渡る陸ちゃんの少し甲高い声はいつもよりも低くて…
真剣な話している時の声だって。
「美桜さんが気づいてないとでも思ってたんですか?」
責めているわけじゃないって分かるけど、北人くんの声はいつにも増して真剣だから、陸ちゃんが責められている気分になる。
それは、あたしのせいで、あたしのためで。
「そうじゃないけど…」
「俺も竜太も黎弥も、みんな俺らサチコさんのこと知ってんすよ!いつどこで美桜さんの耳に入るかなんて分かんないし。美桜さんのことほんとに分かってるんすか?陸さん…」
それは少しだけ挑発するようにも聞こえて。
「え?」
「いつも側で笑っててくれるからって幸せだと思っちゃダメじゃないですか?」
むういい、もうダメだよ、北人くん…
グスン…
そう鼻を鳴らしてしまったあたしに、当たり前に振り返る陸ちゃん。