信じる強さ9


「もう大丈夫なの?酒…」

「あ、うん。…心配した?」


別にそんなつもりで言ったんじゃないけど…「ぐふふ、誘ってんの?」って笑う健太。

まぁ、それはあくまで冗談な返しなんだけど。

そんな健太の言葉にほんの一瞬だけドキってしちゃうあたしって。


「誘ったかな…」


なーんて言ってのけちゃう。


「本気?本気なら相手すんぞ!」


これまた冗談に乗っかってくれる優しいて健太。

こうやって健太はあたしが弱ってる時、間接的なことは言わずに励ましてくれる。

それがあたしにとってどれだけ大きいかなんて、分からない。


「じゃあ今夜…?」

「おう、今夜な!」


ハッとして視線の先を辿るとそこにはサチコがいてこっちを見ている。

何か言いたげなその瞳は、明らかにあたしとて健太を凝視していて。

まさかね、聞かれてた?

でも、冗談だし…

そう思うあたしの視界に飛び込んだのは陸ちゃんで。

グインてサチコの腕が陸ちゃんを掴んだ。

それは全然不自然じゃなくて、むしろ自然体に見えて。

いつもそうしているかのよう…

だって陸ちゃんの瞳がそう言ってる。

あたしからは横顔でしか見えないけど、陸ちゃんの瞳が否定していない。

耳元で何かを言うサチコの言葉に視線をあたしに飛ばす陸ちゃん。

その顔はちょっと強張っていて…

ちょっと寂しそうな瞳の色。


何これ!!

胸が痛い!!!!


それでも口元を笑わせてあたしに手を振る陸ちゃんの顔は、とても不自然だった。

又、あたしの中のモヤモヤが大きく渦巻いている気がして。

どうしようもない不安にかられてしまう。

あれ?

なんかよく分からないんだ。

恋愛ってこんな辛かったっけ?

もっと温かくてピンクな気持ちになるもんじゃないのかな?

あたしの中、最近ずっとグレーがかってる?

見える景色も、グレーがかってる。


病気??