信じる強さ12


数日後。

あたしと陸ちゃんの関係は何となくギクシャクしていて…

金曜日の今日は週末婚の日だっていうのに気分がのらない。


顔でも洗おうとトイレに入ったあたしは異変を感じてその場に踏みとどまった。

一番奥の個室のトイレ。

ずっと水が流れていて時たま苦しそうな声が漏れている。


「大丈夫ですか?」


カチャっとドアが開いて出てきた人にそう声をかけたあたしは、見なきゃよかったと後悔せずにはいられない。

青白いゲッソリした顔のサチコがまだ乱れた呼吸のまま出てきて…

具合悪いとか、風邪とかそういうんじゃなくって、なんてゆうか…


「子供…」


結婚適齢期のあたし達は、周りで結婚する子や、子供を産む子を何人も見てきた。

今のサチコはつわりが酷い子の状態と何等変わりはなくって。


「言わないで下さい!陸には…周りには、言わないで下さい」


あたしに縋るようにそう言うサチコ。

その必死さに「分かりました」って答えたあたしは、もう何もかも分からなくて。

ただ、サチコの相手が陸ちゃんなのか?と思わずにはいられなくて。

何がどうしてこうなっちゃったんだろうか。

幸せなはずのあたしと陸ちゃん。

何がこうしてしまったんだろうか?




「美桜ちゃん?どうしたの??」


ボーっとしていたあたしの隣、莉子が声をかけてきた。


「何でもない」

「何でもないって、泣いてるじゃん!陸くんと何かあったの?」


サチコがどういう気持ちなのか分からないけど、あたしは陸ちゃんに対しての信用がもうもてなくて。

頭の中では、陸ちゃんとサチコが一緒にいる姿の妄想が止まらないんだ。

そんなあたしを心配してくれる莉子にも何も言えずに、ただ無で仕事をこなしていた。


思えばあたし自身サチコに何かをされたわけでもなく、陸ちゃんとサチコのそういう場面を見た訳でもない。

ただ「元カノ」って存在であるサチコが、陸ちゃんの周りでみんなと仲良くしていることに嫉妬していただけなのかもしれない。

どうしても考えてしまう…

悪い方に、悪い方に…

全然そんなつもりのなかった事だったとしても大げさに考えて不安になるのはもう、あたしの性格なんだと。