資料室にいる間中ずっと長谷川くんはあたしの前で顔を伏せて眠っていて。
学生じゃないのにこんなことが通用しちゃううちの会社って大丈夫なわけ?
「莉子さんてホント小さいよね」
寝ていると思った長谷川くんは、突然ムクって起き上がって。
ちょっと吃驚したあたしに向かって笑みを浮かべる。
お決まりって感じのその言葉を口にして。
あたしを見る度にそれを口にする長谷川くんにちょっとだけ腹がたつ。
確かにあたしは身長が低いですよーだ。
長谷川くんみたいに背が高い人が正直羨ましい。
まぁ、あんなに大きくなくていいけど。
「長谷川くんが大きすぎるの!」
「はは、でも俺女の人は小さい方が好き」
「え…?」
恥ずかしくなるような甘い台詞を嫌味なく口にする長谷川くん。
別に小さい=あたしって訳じゃないのに、何だか自分に言われたように思えてあたしは胸の奥が熱くなった。
「手もすごい小さい〜」
カタン!
作業中のあたしの手を握るわけで、あたしの思考回路までも停止寸前!!
なんなんだ、この展開…?!?
「ちょっと…」
「手が小さい子も好き〜」
とんだ子ども扱いだよ。
身長すらあたしの方が小さいけれど、長谷川くんに子ども扱いされるのはシャクでほんの少しムスっとした。
「あたしの方が年上だから」
「ついでに、年上のが好き」
…なんなの?
仕事出来ないんだけど!
てか、そのまま寝ないで…――
口に出して言えばすむことなのに、あたしはこの時貴重な長谷川くんの寝顔を見続けてしまったんだ。
何だか勿体無い気がして。
普段長谷川くんは人がいるとあまり言葉を発しないから。
あたしの近くにくることもほとんどないし…
こうやって二人きりで話すことなんて滅多にないから。
みんなが長谷川くんにキャーキャー言ってるのが少し分かった気がした。
だってあたし―――
この人のこと今、独り占めしちゃってる訳で…
そんな自分すっごく恥ずかしいし、らしくないって思うけど…
それでもこの寝顔を見続けてしまっている。
何だか心臓痛いなぁ…――――…