「絶対います!夏喜さんに似合う素敵な人…。だから前向きに生きて下さい!ゆき乃さん達より…幸せになって下さい!」
どうして泣いたのか分からないけど、言葉にしているうちに涙が溢れて止まらなかった。
泣き出すあたしを、優しく受け止めてくれる夏喜さんはやっぱり大人で、あたしの憧れなんだってそう思えた。
絶対に泣きたかったのは夏喜さんの方なのに…それなのに泣いてしまったあたしはまだまだ子供で…
いつか夏喜さんみたいに、すごくすごくあたしを愛してくれる人に出会いたいって…
そう思わずにはいられない…。
そんな夏喜さんとの出会いが、あたしに運命の相手を運んでくるわけで…
―――――――――――…
相変わらず毎日のように来店する夏喜さんは、最近よく色んな人を連れてくるようになっていた。
「だ―――!マジ、あの、アホ、腹立つ、わぁっ!」
カフェの席に着くなりそう叫んだのは神谷健太さん。
つい最近部署が異動になって、広報からアカウント・エグゼクティブ・スペシャルプランナーっていうPC技術的な忙しい部署になったようで、そこの上司とうまく噛み合わなくてか、ここに来る時はだいだい苛々している様子。
いつもブラックコーヒーを頼んで煙草を吸っているその格好は、単純に“かっこいい”の一言。
そんな健太さんは、勿論ながらこの会社で人気者で…。
まぁそんな人に彼女がいない訳もなく…
たまにふわっとした優しい雰囲気の女の人と一緒に来ていた。
その人と一緒にいる時はとっても優しい顔で、あぁ…アイシテルんだな〜って思ってしまう。
“美桜”って呼ばれているその人は、どれだけ健太さんに愛されているんだろうか…
いつの間にかあたしの観察は夏喜さんから健太さんへと変わっていて…
最初は単純にかっこいいからって思いでだったけど、今は健太さんの言葉、行動一つ一つに深い意味があるみたいで、それをずっと見ているのが面白くて好きだった。
今日は美桜さんじゃなくて夏喜さんと一緒のせいか、さっきから大声で唸っていてそんな健太さんはあたしから見ても可愛い。
「健太さん、そんな大声迷惑っすよ!」
そう宥める夏喜さんをギラって睨んで「人いねぇーじゃんか!」って吐き出した。
でも次の瞬間ハッとしたように顔を上げて、店員であるあたしの方を見て苦笑いをする。