ただ、あながち嘘と言い切れない自分もいて。
今はもう恋愛感情って訳じゃないけど、夏喜さんのことは人として大好きだし…
出来ればこの先もあたしに構って欲しいっていうか…
でも、健太さんにはそーいう風に見られたくないのに…。
だから…
「…ち、ちがいます」
若干無理やり搾り出した声がまた怪しさを含んでしまっていて…「やめとけよ」って言う健太さんの声が聞こえた。
「違うんですってば!」
思わず大きな声でそう言ったら、目に見える位置で夏喜さんが苦笑い。
「そんなに全身で否定しないくてもよくない?香澄ちゃんさぁ。さすがに凹むよ俺も…」
ガックシ肩を落とした。
「やっ、本当に違うんですっ!すいませんそうじゃなくって…あたしここの社員さんはみんな憧れてるっていうか…夏喜さんもその一人でして…特別な感情って訳じゃなくて。でもあたしみたいなただのバイトの子にも気を配って話しかけて下さる夏喜さんのことは、人として大好きなんです。あたしの方がすごい年下なのに、そうやって気持ちを話してくれるのって気を許されてるみたいな感覚になりますし可愛いなって思えます。…あたしヘンですか?」
真っ赤になりながらも素直に自分の気持ちを話してみたのは、二人がちゃんと受け止めてくれるだろうって思っているからで。
「いや、むしろ好感度アップ!けんた香澄ちゃんの意見参考にするわこれから」
そう言ってあたしに軽くウィンクをする健太さんはやっぱりあたしをからかっているのかもしれない。
「あーごめん、けんた行くね!」
時計を見るとちょうどお昼で、カフェの外をフライング気味に社員さん達が昼食場所に向けて歩き去って行く。
チャイムが鳴ったらお店も忙しくなってしまうから。
「じゃーね」
そう軽く手を振る健太さんは、外にいた美桜さんを掴まえて、並んであたしの前からいなくなった。
「やっぱりいいな…」
口に出したつもりなんかなくって、でもハッと気づいたら夏喜さんがあたしを見てニンマリ笑っている。
「もしかして香澄ちゃんは健太さんに興味あり?」
「またそんなこと」
でも…夏喜さんにそう言われて…
あたしは初めて健太さんのことを意識してしまったのかもしれない。