カラン!
慌しく入って来たのは健太さんの美桜さんだった。
息が上がっていて…見た感じ泣き出しちゃいそうに見える。
今は午前中でチラホラとしかお客さんもいない。
窓際の席に座って心を落ち着かせているその姿は、少しだけあの日のゆき乃さんと被った。
どうしたんだろう?
健太さんと何かあったんだろうか?
そんなことを思っていながら声をかけることも出来ないあたしは、ただ様子を見ていることしか出来なくて…
数分後に、細身でモデルみたいなイケメンな男性が入ってきた。
「美桜、どうした?」
「北人…もうやだ…」
吐き出すみたいな美桜さんの声はもう、震えている。
「自分が嫌で嫌で仕方ないの!陸ちゃんの事疑って疑って…余裕なくて。莉子やゆき乃ちゃん達の幸せそうな姿見て嫉妬して…あたしと陸ちゃんだって幸せなはずって思うのに、苦しいよ…」
ポンポンって、“北人”さんが宥めるように背中を叩いていて…美桜さんの中にある苦しい気持ちを吐き出させているように見えた。
「サチコになんか言われたの?」
「違うけど、陸ちゃんにベッタリで…」
「仕事でしょ?陸さん別に特別にサチコを気にかけてるなんてないと思うよ」
ねぇ、美桜さん…
“陸ちゃん”…って?
美桜さんは健太さんの彼女じゃないの?
健太さん以外の人のことで悩んでいる美桜さんを見て、あたしはもう美桜さん達の話を聞くことが出来なくなった。
あんなにお似合いだと思ったのに…
美桜さんどうして?
ちゃんと知りもしないくせに、あたしは健太さんの笑顔が消えていくような気がしてしまって、どうしようもない絶望感に胸が痛かった。
週末、また友達に誘われてコンパに顔を出した。
モヤモヤしたこの気持ちをどうにか解消したくて、無心でお酒を飲んでいたあたし。
結果、当たり前に酔っ払う訳で。
元々お酒がそんなに飲める方じゃないと思うけど…
飲み屋の壁に寄りかかっているあたしを通る人通る人が哀れな目で見ている気さえして、何もかもが嫌で、気分は最悪!
そんなあたしに声をかけてくるのはチャラ男って呼ばれるような奴しかいない。
「ねぇ、大丈夫?」
そう声をかけられても、下心丸出しなのが分かるんだっつ――の!!