あたしは腕を引っ張られてよろけそうになりながらも「離してっ!」って叫んだ。
「いーじゃん、もっと飲もうよ!もっと気分よくなろうぜ!」
そんな言葉使いも気持ち悪くて。
何でこんなガキみたいなレベルの低い男が世の中にはこんなにも繁殖してるんだろう?なんて思わずにはいられない。
友達はこんな子供っぽい男で満足しているのかと思うと変な気分だった。
結局のところ、あたしはカフェ;はぴねすに来る社員さん達が基準になっているのかもしれない。
夏喜さんにしても、健太さんにしても、少年みたいな部分もあるけど、決してチャラチャラしている訳ではなくて、しっかりした部分を持っていて、そんな人がいいと思ってしまうあたし。
「香澄ちゃん?」
聞こえた声に、ふらつく体を反転させて見ると、遠慮がちにあたしを見ている健太さんがいて、完全に酔っぱらっているあたしの顔を確認するなりその顔つきが変わる。
「離せ、ボケ!」
持っていた煙草を投げ捨ててあたしの腕を掴んで引き寄せる健太さんは、ほんのり甘い香りがする。
それが咄嗟に、美桜さんの香水の香りなんだ…って思うと妙に切なくなる。
あたしを引き寄せる大人な健太さんに、食ってかかろうとするチャラ男。
でも、健太さんはそんなチャラ男達にジロって強烈な睨みを飛ばすと、そのままあたしの腕を引いて歩きだす。
足がおぼつかないあたしを引き上げる腕には筋肉がついていて…
男らしくって…
お酒が入っていたというのもあるかもしれないけど、異様にドキドキしてしまった。
「健太さん…」
「なに?」
一言冷たくそう言われて、あたしは突き放されたんだってそう思った。
こんなあたし、あのチャラ男と一緒だってそう健太さんに思われて、ただ悔しくて…
「あたし歩けます! 一人で帰れます!」
健太さんの腕を無理やり振りほどいた。
宙を舞った健太さんの腕は、静かに足元に戻って行く。