そう言って笑った健太さんは、あたしと繋がっている手を引っ張って軽く抱き寄せられた。
途端に爆音が心臓から鳴り響いて、あたしはパニック状態。
でも、周りにいるカップル達はみんなそれぞれ二人の世界に入っているのか、誰もそんなことには気づかない。
「け、健太さん…?」
「けんためっちゃアピってんのに気づかないんだもんっ」
耳元で聞こえる掠れた声はただ色っぽくて、あたしは頭の中が真っ白になってしまいそうで。
絶対に女のあたしよりも色気のある健太さん。
「アピ?」
「…まじ凹むわ」
はぁ〜…て溜息をついてあたしを少し離した。
――ものの、あたしの肩に顔を埋めて小さく呼吸を繰り返す健太さん。
真剣なその顔を、そっと上げた。
大きな目があたしを真っ直ぐに見つめている。
「もう、我慢できそうもねぇから言っちゃうけど…――好きだよ」
ボソって呟いた。
ジッと見つめる瞳は決して嘘じゃない事を物語っているんだけれど…
「ウソですよね?」
信じられないって思いがつい口から飛び出してしまう。
それにガクって見るからに肩を落とす健太さん。
「嘘で告白する奴どこにいるよ?…もっかい言おうか?俺香澄ちゃんの事好きだよ」
一度言ったせいか二度目の告白はさっきよりもハッキリと聞こえて、単純に健太さんの想いが嬉しく感じてならない。
あたしの方が憧れ以上の気持ちを抱いていたから。
みんなの人気者の健太さんがあたしなんかを好きになることはないって決め付けていたし、何より美桜さんっていう存在がいたから。
どう反応したらいいか分からなくて俯いていたあたしの顎に健太さんの手が触れた。
ゆっくりとあたしの顔を自分に向けさせて見つめ合う瞳が真剣に近づく…
「香澄、目閉じろ」
健太さんに言われるがまま、されるがまま…
目を閉じたら…ちょっとフライング気味に健太さんの唇が押し当てられた―――
グイって、腰に回された腕に引き寄せられて…
あの甘い香りを強烈に感じる…
これって健太さんの香りだったの?
甘すぎて女性用の香水かと思ってた。
唇が離れると、小さな溜息を吐き出す健太さん。