「香澄ちゃんの気持ち聞いてねぇ…」
「あ、あたしも…好きです、健太さんのこと!」
「よかった。あ、その“健太さん”ってやめない?なんかイケナイことしてる気になる…“けんた”でいいよ」
「いいんですか?」
「うん、後、敬語もナシね!彼女に敬語使われるの好きじゃない!」
ちょっぴり強引な健太さん…けんたの言葉を素直に受け入れたあたしは、もう一度、けんたにキスをされて…―――
「わっ、けんたっ!」
目を開けると、いなかったはずのカップル達があたし達を囲んでいた。
「健太さんおめでと――う!」
第一声は夏喜さんだった。
確実に夏喜さんの大声で集まっただろう人達で、よく見ると見たことのある人ばかりだった。
「すっげー若いね!初めまして、ゆき乃です!」
夏喜さんの隣にいたのは、じつは何度も見たことのあるゆき乃さんで、お店の注文以外で話すのは初めてで…よく分からない緊張があたしに生まれた。
「あの…初めまして…」
裏返った声が出てしまった。
「本当は初めましてじゃないんだよね〜!あたし黎弥のお弁当届ける前に毎日香澄ちゃんのカフェに通ってたの!だから知ってた。なっちゃんがサボってんのもね!」
そう言いながらも、ゆき乃さんの手はずっと黎弥さんと繋がっていて…
初めて見る黎弥さんはとっても優しそうな人だった。
「さぼってないし」
夏喜さんがそう言うと「本当のことだろが!」って黎弥さんの突っ込みが入る。
「健太が好きな子できたって言うからあたしも何気にチラチラ見に行ったりしてたんだよ〜莉子と一緒に」
そう言うのは美桜さんで隣には陸ちゃんさんがいて、ここもしっかりと手を繋いでいる。
莉子さんは黎弥さんが好きだった人で、莉子さんの隣にいるあの青いインナーカラーのお洒落で優しそうな人が彼氏なんだろうな…って思った。
あたしもこの中に入れるのかと思うと嬉しくて仕方なかった。