恋愛に痛手はつきもの7


え、なに??

自分達の話題そっちのけで視線をそっちに移すと、ビールジョッキを片手に立ち上がってそれを一気飲みした黎弥くん。

バン!って空になったジョッキをテーブルに置くと視線が絡んだ。


はえ…?

ズカズカ大股で歩いてくる黎弥くんはあたしの前に立って姿勢を正した。


「黎弥くんどうしたの?」


あたしがそう言うのとほぼ同時、あたしの声に被さるようにして黎弥くんが叫んだんだ!!


「莉子が好きだ!!!」


物凄い歓声があがって、それに答えるように黎弥くんが両手を挙げた。

あたしは吃驚して黎弥くんの勢いに押されて壁に激突してしまって。

そんなあたしの返事を待っているみんなの視線が集まっていて…


「俺と付き合ってくれ!!」


ちょっと偉そうな黎弥くんの声があたしに届いた。


次の瞬間、辺りは又歓声に包まれた。

思いもよらない告白劇にあたしは苦笑いしか出来なくて、今まで黎弥くんがあたしのことを恋愛対象として見ていたなんて気づくわけもなくて。

同時に胸の奥がキュンとして。

その気持ちだけで本当に嬉しく思った。

純粋に…単純に黎弥くんの彼女は幸せだってそう思っていたから。

でもそれを自分に当てはめることが出来るかどうか…


「あ、りがとう…嬉しいけど…いきなりすぎて吃驚してる」

「ずっと、好きだったよ…」


見上げる黎弥くんの顔はこれでもかってくらいに真剣で、これはあたしも真剣に答えないとダメなんだって思った。


「えっと…」


どうしようって目を泳がせていたらジッとこっちを見つめる長谷川くんと目が合った。

咄嗟に思い浮かべたのは「助けて」って言葉で。

でも、長谷川くんは黙って見ているだけでその場を動こうとはしなくて。

何だか胸が痛い。


「あの、いきなりだったから…今まで黎弥くんのことそーいう風に見てなかったし、だから…」

「無理?これから俺のこと、見てくれないかな?」


押せ押せの黎弥くん。

お酒のせいで完全にヒートアップしちゃってて…


「あーもう!分かった。でも今はそんな気ないから!」


半ば無理やり。

イエスとも、ノーとも言えないどっちつかずなあたしの答え。

みんなの前で黎弥くんに赤っ恥をかかせるのも嫌だったから。