想いを言葉にするのは誰しも勇気がいるもので、例えシラフじゃなくとも自分の気持ちに嘘をつくことなんてしないだろう黎弥くんの気持ちを無碍には出来なかったんだ。
そんな投げやりなあたしの言葉に、今までで一番の歓声があがって…
拍手と万歳三唱の嵐がしばらく続いた。
気づいたらゆき乃ちゃんの姿がなくなっていて…
「美桜ちゃん、ゆき乃ちゃんは?」
そんな質問を飛ばしたあたしに心配そうな美桜ちゃんの声が返ってきた。
ちょっと酔ってしまったらしいゆき乃ちゃんはもうお店の中にはいなくて心配になったあたしは日高くんの所に行ってみる。
「日高くんゆき乃ちゃんどこ行ったか知らない?トイレ見てきたんだけどいなくて」
「あー大丈夫ですよ。いつものことだから!莉子さんのせいじゃねぇーし」
「え?」
何気なく言ったんだろう日高くんの言葉がどうにも引っかかってしまう。
あたしはどうしても気になって飲み屋の入り口を出て外に行った。
階段の下、外にある椅子に座ってゆき乃ちゃんは泣いていた。
その前にはしゃがみ込んでゆき乃ちゃんを宥めるみたいな長谷川くんとなっちゃんがいてあたしはそっと近づいた。
気配に気づいたのかなっちゃんが振り返ってあたしを見た。
「ゆき乃ちゃん大丈夫?」
「あ、はい…。あの莉子さん今ちょっとアイツ不安定だから…そっとしておいてあげてくれませんか?」
言い方はやんわりしていたけどなっちゃんがあたしにくれた言葉は拒絶を意味していて。
どうして??
「ゆき乃さん大丈夫だって…あんなの酒入って調子のってただけだよ、いつものこと。気にすることないって…ね?」
長谷川くんの大きな手がゆき乃ちゃんの頭をずっと撫でていて。
さっきあたしが独占していたその綺麗な指は、今はゆき乃ちゃんをずっと支えている。
あたしのことは助けてくれなかった長谷川くん、当たり前にゆき乃ちゃんを慰めていて側にいて。
あたしがあの時望んだ気持ちなんて長谷川くんには一ミリたりとも届いていなかったんだ。
なにこれ…
なんか痛いよ…
さっきよりも胸が痛くて…
鼻の奥がツーンとする…
それなのに泣いているゆき乃ちゃんをほおっておけないあたしはなっちゃんの忠告も無視してゆき乃ちゃんに近づいたんだ。
あたしの存在にすら気づいていなかったらしい長谷川くんが、隣にあたしが来た事に吃驚した顔をした次の瞬間…――――