K



「そうあいつ…」


あたしと同じように視線をゆき乃さん達に飛ばしてそう言う。


あぁ―――やっぱりぃ…

超撃沈。

自分から失恋。

大ショック。

言わなきゃよかった。

明日から来れない…

ってか来たくない。


「って、思ってただろ?」

「えぇ…?」


素っ頓狂な声は勿論あたしで。

その笑いはあたしに向けられたもの。

意味不明な田崎さんの言葉に最早頭はついていかない…

ついて、いけない。


「お前、俺の表情だけは読めねぇのな」


そう言うと、ふわって田崎さんの腕があたしを持ち上げるみたいに巻きついて…

気づいた時にはあたしは目を閉じていた―――

無意識のくせにしっかりと目を閉じてしまうあたし…

心地いい温もりと心地いい感触に半開いた口から吐息が漏れる…

「なんで?」って感情より「もっと…」って想いの方が断然でかくなるあたし。

田崎さんの腕にしがみつくように腕を回した。


「おい、あんま暴走すんなよ…俺も一応男なんだぞ?大人だからTPOは考えてっけど」


そう唇を離して笑う。

あたしは若干恥ずかしいながらも、正直田崎さんの気持ちが見えなくて。


「まぁ、あれだ。最初っから俺のこと好きだったろ?」

「うん」

「知ってた!でもな、何に対しても人間そう簡単に手に入ることなんてねぇから。だからお試し期間と思ってゆき乃に対して“本命”って言葉使ったの。それでもお前が俺のこと好きだって、気持ちは変わんねぇなら本物だな…って思ってな」

「…え、田崎さんのあたしのこと?」

「好きじゃねぇ奴なんかにこんな事するかよ。お前みたいに素直な奴初めてだ。俺のここにガンガン入ってくる」


そう言って胸の辺りをコンって叩いた。


「本当にゆき乃さんの事好きじゃないの?本当にハル?」


何だか田崎さんの言ってる事が信じられなくて。

だって、あたしのこと好きだなんて…

そんな事、願っていたけど、思ってもみないことだったから!

ずっと欲しくて欲しくて我慢してたから。