田崎さんを想うなら、田崎さんが幸せでいて欲しいなんて、相手の幸せを考えちゃうまでにあたしは成長できたって事だよね?
田崎さんはそれをあたしに分からせたくて、それを学ばせてくれたんだよね?
でもあたしを好きになった事に関しては、やっぱり不明な気がする。
「まさか、一目惚れ?」
「お前、一気に二個も質問すんなよ。ゆき乃は昔っから良平一筋だ。あいつがどんだけ良平を好きかなんてウゼェくらい知ってるっつーの。そこに自ら突っ込むバカがどこにいんだよ?」
そう言ってから視線を泳がせてニヤって笑うと「一人いるな、んなバカが」って言って、浮かんだのは当たり前に直ちゃんで。
直ちゃんの気持ちを想うとやっぱり少し切なくて、俯き加減に相槌を打ったら覗き込まれて又小さく唇が重なった…―――
「一目惚れはないな」
ガクン!
あー…そうっすか。
「ま、でも…ずっと逢いたかったんだ」
「え…?」
それはもう、めくるめく早さで…
定時を迎えたあたし達は、そのまま田崎さんの住むマンションに向かった。
こーゆうのって、大人の恋愛って言うのかな?
それともサカリのついた動物的なもの?
田崎さんがこんなに情熱的な人だなんて…
「あの、シャワーとかっ」
ベッドに押し倒されて体重を乗せる田崎さんに言ってみるも、「そんな余裕ない」って顔であたしの首筋に顔を埋める…
前開きにされたブラウスの下、薄いピンク色の下着の中に手を突っ込まれて、あたしは体中に電気が走るよう。
荒ぐ呼吸のまま繰り返されるキスは、田崎さんのキスがうまいのか、言うなればとろけそうで…
「んっ…」
甘い吐息が漏れて…
夢見ていた田崎さんへの想いが通じたあたしは今日、世界一幸せを感じていた。
今まで適当に生きてきたあたしは、人を大事に想う事の大切さなんて考えた事もなかった。
ホテルHappinessに入って、田崎さんに出会って…
人を愛することの意味を知ったんだ。
直ちゃんの想いは決して報われないかもしれないけれど
ゆき乃さんの幸せを願う直ちゃんは、とっても男前。
そういう人間ドラマを生で見て生で経験したあたしは、
田崎さんによって色んな意味で大人にされたんだ…って。
「ねぇ…」
「うん?」
「敬浩って呼んでもいい?」
「あぁ、いいよ」
「敬浩!」
「なんだよっ?」
うっとおしそうにそう答えるけど、あたしを抱きしめている腕の力は全然緩まないんだ。
「ちゃんと教えてよ、ハルへの恋心」
そう聞いたあたしを紛らわすかのように、甘いキスが降りてきた…―――