………。
ユーセイのお陰で俄然やる気を取り戻した私の前、何故か気合いの入りまくったっぽい八木。
いつもポンコツなのに、テキパキ仕事をこなしていく姿に、一秒でも早くユーセイに会えるならいいかって。
気づけば2時間はかかると思った残業も、1時間で終わりを迎えた。
「やればできるじゃん、八木!」
肩をポンと叩くとふわりと微笑んで「保科さんのお陰です。」丸眼鏡の奥の目が細まる。
何故か、ドキンと胸が脈打つ。
って、いやいや有り得ない。こんなダサ男。
「いつもそれぐらい頑張ってくれたら嬉しいけど。お疲れ様。」
「あ、また。」
褒められた事が嬉しかったのか、八木が物凄い笑みで私に頭を下げたんだ。
すぐにLINEを開いてユーセイに今から行く事を告げた。
ロッカーにはいつでもどこにでも行けるようにって、三着ぐらい服を入れてあって。その中でも一番のお気に入りのセットを持つと私は駅前の大型デパートの中のトイレで着替えてメイクを直して髪を巻く。アクセサリーもつけて香水も、香水はユーセイの分けて貰おうかなぁ。
鏡の前でマジマジと自分の顔を見ると、なんだかとっても嬉しそうに見えて。こんな顔、だったっけ、私って。それとも、ユーセイのせい?
はやる気持ちを抑えて私はユーセイの住むマンションへと急いだ。
高々と聳え立つマンションを前にユーセイにLINEをしようとしたら、前からニットを被ったユーセイが出てきた。
私を見てニッコリ微笑む。
「雪乃さん、お疲れ様です。」
スっと手を伸ばすユーセイに掴まると「可愛い、その格好。」綺麗にした自分を褒められて笑顔が零れる。
「迎えに来てくれたの?」
「はい。そろそろかな?って。」
今日は金曜日。
「泊まってもいい?」
「もちろんです!…帰すつもりはありませんよ。」
ふわりと私を抱き寄せるユーセイの腕にキュッと絡まると「可愛い。」もう一度甘ったるいユーセイの声に微笑んだ。