信じがたい事実6


私のスマホを使ってユーセイを呼び出した夏喜。私からの連絡だと思っただろうユーセイはワンコールで出たみたいで、そして今、息を切らせて私と夏喜の前にやって来た。


「雪乃、さん!」


こちらに一歩踏み出すユーセイの前、私を背中に隠したままの夏喜。いざユーセイを前にすると何の言葉も出てこなくて…―――「雪乃、」夏喜がそっと私の肩を掴んだまま自分の前に出した。

困惑したユーセイの表情。

よし!と覚悟を決めて私は大きく息を吸い込んだ。


「私、ユーセイのこと何も知らなくて。…会社にいる八木の首に、ユーセイと同じ痕がついてて、」


大きく目を見開いたユーセイは、知らなかった!って顔で手で首を隠す。だけどそんなのおかしくて。


「それに気づいた私に、八木が、どうかしましたか?雪乃さん…って。一度も私の事雪乃なんて名前で呼んだことなんてないのに、ユーセイと同じ声で、八木が私を呼んだのよ、」


困ったように顔に手を当てるユーセイが、次の瞬間顔を上げて私を真っ直ぐに見た。


「騙してた訳じゃないんです、でも、結果的にあなたを傷つけた。ごめんなさい。だけどが雪乃さんを好きな気持ちには嘘はありません!それだけは絶対だから!信じてください!」


やっぱりなんだって。分かっていたものの、受け止めがたい事実で。

ユーセイだろーが、八木だろーが、変わらず好きよ…どうしてもそう口にできない私がいて。だったら私はバーテンユーセイの一体何が?どこが?好きだったというのだろうか?

それすらも今は分からない。


「…ごめん。」


出てきた言葉はそんな言葉で。これすら自分の本心なのかも分からない。だけど、私の腕を掴むユーセイの腕を振り払う。


「ごめんユーセイ。…顔も見たくない。」


ポロリと零れる涙と、力の抜けたユーセイの手が離れるのが一緒で。そのまま夏喜が私の肩を抱いてくるりと反転する。すぐにタクシーを捕まえてそこに二人、乗り込んだ。

俯く私の頭を夏喜の手が優しく撫でてくれた。