目が覚めるといい匂いがしていて、キッチンでは誰かがきっとご飯の準備。誰かなんて嘘、こんなタイミングよくうちに来るのは一人しかない。
「あ、起きた?もー大丈夫ぅ?雪乃さぁん。既読スルーしてるから気になって来てよかった。」
昆布入のお粥をお盆に乗せてニッコリ微笑むハル。
「熱、まだ下がんないね?薬いっぱい買ってきたから飲んでねー。なんか食べたいものある?…え、雪乃さんっ!?えっ、えっ、どうしたのっ!?え、お腹痛いっ!?やだ雪乃さん、泣かないでぇー、」
もういっぱいいっぱいで、分かんなくて。夏喜の事も考えないとって思うけど、頭ん中ユーセイでいっぱいで。結局のところ、考えないようにしようとすればする程、浮かぶのは隣で照れくさそうに笑うユーセイで。それが八木に繋がる事はなくても、やっぱり私の中でユーセイの存在は大きいんだって、思い知らされる。
「も、わかんないっ、ユーセイのこと、忘れたいのに、全然忘れられないっ。なっちゃんまで本気で告ってくるし、何も考えたくないのに、ユーセイずぶ濡れの中待ってるし、傘貸してくれるし、うぅ、もうやだ、もうわかんない、」
ポロポロと零れ落ちる涙に、私以上に泣き出すハル。いつもみたいに「勘弁してよ。」って言えないぐらい私は涙が止まらなくて。
自分でどうしたいのか、どうして貰いたいのか、何も分からなくてもどかしくて、頭に浮かぶユーセイを何度も何度も押し殺している自分を認めざるを得ないのかもしれないって…。
―――恋愛で泣くなんて、思いもしなかった。