「ごめん。」
「…雪乃さんさ…好きだよね、ユーセイのこと。」
散々2人で泣いてほんの少しだけスッキリした。でもだからといって、今この状況が変わるなんてことは一つもない。
お粥を食べながらハルがまじまじと私を見つめてそう聞いた。たかが数週間前なら胸を張ってイエスと答えていたに違いないであろう事も、今は胸の中がモヤっとしていて答えが見つからない。
ゴクっとそば茶を飲むと、喉の奥がちょっとだけ痛くて顔をしかめた。
「…好きだったよ。でも今は好きだって言い切れない。」
「でも好きだからそんな風に泣いたり、迷ったりしてるんだよね?」
諭されているのかなんなのか、私よりも恋愛経験が少ないハルだけど、ハルの言葉に私は小さく頷く。
「たぶん。」
「八木はむしろ嫌いだったよね?」
「うん。」
「でも二人は同一人物。普段の八木がどんなだか知らないけど、全然違うの?」
…似ても似つかないはずなんだけど。足を崩して座りなおした私は小さく溜息をつく。
「だってポンコツは丸眼鏡で、髪もボサボサで…――でも声は同じ。あと背中も…。それから時々香水も…。」
私を見つめる瞳は、どっちも柔らかかったのかもしれないなんて今更思う。言葉の節々に、ユーセイを連想させる事を言っていたけど、全く気付かなかったのは、はなっから八木を嫌っていたからなんだとも思えた。
間違いなく、男としてなんて見てはいないって。
「せめてユーセイの恰好で出勤してたらまた違ったのかな?」
ハルの言葉にバーテンユーセイがあのスーツを着て私の斜め前に座っているのを想像したけど、もしもそれで好きにならなかったらどうしたらいいんだろうか?