「雪乃ちゃん!お昼行った?」
ポコッと軽く肩を叩かれて顔を上げた。横に立っている澤くん。あ、もうそんな時間?壁にかかっている時計に目を移すと13時を過ぎていた。
八木は午後の打ち合わせに行っちゃって、てかあいつご飯も食べてないじゃん。あんなフラフラで薬も飲まないで…。
「美味しいパスタ屋さんがあるんだけど、行かない?」
「あ、うん。」
お財布とスマホを手に澤くんとフロアを出た。
「引き継ぎ、大丈夫だった?」
ニッコリ微笑む澤本スマイルに騙されてたまるか。
「澤くんちょっと勘違いしてる。違うから私と八木は、澤くんが思うような関係じゃ、」
じぃっと私を見つめる澤本スマイル。いやだから騙されないって。思わず言葉を止めてしまった私の背中を押して開けたドアの前に私を先に入れてくれた。
「まぁいーじゃん。俺結構しっかり見てると思うんだけど。」
紳士的に私を店内に入れて、ソファーのある席のソファー側に座らせてくれた。
「澤くん意外と頑固。」
「はは、そんな事ないけど、2人見てるとなんかいいなーって。」
完全に澤くんの中で私は八木の女で。だけど疑問に思う。
「なんでそう思うのよ?」
頬杖をついた澤くんは、お水を一口飲むと「んー、男の勘!なんて冗談。八木の雪乃ちゃん愛は俺じゃなくても分かるよ。」…私はそんなの全く気づかなかったけど。人が見たら八木は私を愛してるって見えるんだろうか…。
「私は違うよ、私はもっとかっこいい人と、」
言葉が詰まる。あれ?かっこいい人ってどんなだっけ?私が思うかっこいいのは、夏喜。
だけど浮かぶのはユーセイで…
「なんで浮かばないのよ、」ユーセイしか。