「雪乃、ちゃんごめん俺…、」
「違うのごめん、私が悪いの、私が…」
俯くとポタポタとテーブルに涙が零れた。バッカみたい、こんな風に弱い女みたいに男の前で泣くなんて。ハルと一緒に泣いてそれで終わりって思ったのに、なんでまだ出るの?
なんで私、こんなにユーセイの事ばっかり。ふわりと澤くんの手が私の手に重なる。
「あーさわなつ先輩が女泣かせてる!」
澤くんの言葉よりも早く聞こえたその声に顔を上げるとうちの会社の受付嬢がこっちを見ていた。
「ちょっと香澄、やめなよ、絶対今空気読めてないよ。」
「え?そう?てか、恋愛の悩みですか?それならあたしが聞く!さわなつ先輩よりも120倍ぐらい役に立つこと言いますよ!ね?」
…私生活派手目な受付嬢の確か香澄ちゃんと、莉子ちゃん。そそくさと私と澤くんのテーブルに座り込む。風に揺れた髪はブルーのインナーカラーで大きな目がパチッと私を見た。
興味津々に肘をついて「なんでそんなに泣いてんの?」…香澄ちゃんの横で莉子ちゃんが申し訳なさそうに顔をしかめた。その髪もグレーのインナーカラーが見え隠れしている。
「あの、澤くん。」
「ごめんね、香澄ちゃん受付来る前同じ部署で、直の後輩だったの。ね?」
優しく澤くんが香澄ちゃんの頭をポンポンってするのを見て、これは澤くんの癖なんだって。でもこれ女は勘違いするよね?ユーセイが他の女に同じようにやったら私、絶対に嫌がるだろな…ーーーまただ、また無意識で頭はユーセイを追いかけてる。あんなに否定して拒否してたというのに、私の心は今もまだちゃんとユーセイが住みついているんだろうか。
正直この子達に話すことは何も無い。だけど私が話をする以前に香澄ちゃんは自分の恋愛を澤くんに向けて語り出した。オレンジジュースを飲みつつ。
「亜嵐くんとえっちしたの健太にバレちゃって。」
遠い目をしてボソッと呟いた香澄ちゃんにたいして、「香澄の絶対バレない!は、120%バレるって言ったのに。」全部分かってる風の莉子ちゃん。どうやら香澄ちゃんは、健太くんって彼氏がいながらも、亜嵐くんって男と浮気をして、それが例え健太くんって彼氏にバレても、彼は絶対に自分から離れたりしないって。
「そんなに惚れこまれてるって、どうして思うの?浮気なんてされたら普通は嫌よね?」
運び込まれたボロネーゼをフォークに巻き付けながらも視線は香澄ちゃんを見る。