無意識の感情4


「え、分かるでしょ。だって健太はあたしに心底惚れ込んでる。あたし以外の女には興味もないし、」


すごい自信。でもちょっとだけ分かる。香澄ちゃんと健太くんとは違うけれど、こんなになってもまだユーセイは私を愛してるって。夏喜とセフレ関係にあっても、それでも…


「私は香澄みたいにはなれない。てか健太くんどうするの?あれから連絡きた?」
「え?来てないけど、」
「もうちょっと焦りなよ。」


…何故かここで言い合いが始まりそうで。慌てて澤くんが「こらこら、」って、2人を止めた。


「莉子ちゃん落ち着いて。ね。香澄ちゃんのこと心配してるんだよね。だから、」


コトっとアイスティーを置く莉子ちゃんの手は微かに震えていて。彼女もまた何か違う何かを抱えているのかもしれないって。女の子同士仲良さげに見えても、その心の中は闇に覆われているのかもしれないなんて。

結局私の貴重なお昼休みは、香澄ちゃんが浮気をしているって話で終わった。何か言いたげにしていた莉子ちゃんも気になるけど。

この2人とはこれでもう関わることはないなんて思っていたら、その日以降香澄ちゃんと莉子ちゃんに懐かれた私はこの子達の交流関係全てを知る事になるけれど、それはまたちょっと別のお話で。

だけど、澤くんはそうやって私にも恋愛相談をできる相手を連れてきてくれたわけで。彼女たちと話すことで、自分の悩みもわりとちっぽけに思えるなんて。




「ねぇもしかして、八木さんって、バーテンユーセイ!?」


今だユーセイと気まずい中、それでも仕事をひたすら頑張っていたユーセイは、その日大雨にフラれて外回りから帰ってきた。

受付の前で香澄ちゃんに捕まっていた私を通り越して、香澄ちゃんがとんでもない事を言い放ったんだ。

見るとスーツの上着を脱いで濡れた眼鏡を外していて、ユーセイの筋肉というか体の線がハッキリ出ている。濡れた髪をかきあげたユーセイは、こっちを見て「えっ?」って。

苦笑いで「え、あの、」…莉子ちゃんを受付に残して出てきた香澄ちゃんがユーセイの腕にふわりと抱きついた。

ちょっと!!