たった3分程度の逢瀬。もしかしたらもう二度と夏喜とは会わないのかもしれないと思うとやっぱりそれは寂しくて。一番やさグレている私って人間を知っているのは間違いなくこの男だけだ。
「あ、俺さ、仕事決まったの。ちゃんとした昼間の仕事。だから今度は普通の友達として、また飲みにでも行こうや、な?」
ポコッと頭を撫でられる。男女の友情なんて絶対に成り立たないと思っていたけど、夏喜との未来はそーいう形で繋がっていけると思うと、この世に絶対はないんだって、思えた。
「うん。嬉しい!」
「もしかして迎え来てる?」
大通り沿いに止まっているBMW。それに気づいたのか夏喜が足を止めた。
「…うん、そこに。」
軽く視線を流すとサングラスをかけたユーセイが運転席で大人しく待っているのが見える。
「最初に会った時、アイツの前で笑う雪乃見て焦ったんだ、これでも。だから挑発するようなこと言ってやったけど、俺の負けだなー。いつかは雪乃がマジで手に入るって思ってたけど、ダメだったわ。」
「なっちゃん…。」
「俺も、雪乃みたいな幸せそうな顔に、いつかなれるかな…。」
小さく呟いた夏喜は、私をそっと抱き寄せた。何も言わずに更に強く抱きしめる夏喜に軽く目を閉じる。この温もりとこの腕に何度も抱きしめて貰って何度もパワーを貰った。いつか夏喜にも私にとってのユーセイが現れるって信じてるよ。
「電話番号変えんなよ。」
「え?」
顔を上げると不意打ちでちゅ、って小さなキス。驚く私に八重歯を見せて笑う夏喜は、今まで見たどの夏喜よりもかっこよかった。
「彼氏と仲良くな。」
ポンっとこんな時まで背中を押してくれる夏喜。「なっちゃん、ありがとう!」大きな手を軽く上げると、夏喜はそのまま振り返ることなく駅の方に消えていく。小さくなる背中をずっと見つめていたらふわりと肩を抱かれた。
「帰ろう、俺達の家に。」
「うん。」
ユーセイににっこり微笑んだんだ。