君と本気の恋1


恋にのめり込むタイプよりも、恋を楽しむタイプだって思ってきた。

――――わたくし香澄、ピンチです。



「な、にこ、れ…、」


家に帰ると寂しげにポツンと鍵がリビングの机に置かれていて。いや見たら一目瞭然なにって分かるけど…。

数ヶ月前にあたしが健太に渡した合鍵。こう見えて合鍵なんて渡すの初めてだったのに。

そもそも亜嵐くんからあたしって女を奪い取ったのは健太の方だ。まぁ別に付き合っていたわけではないけど。でも亜嵐くんとそういう関係だったあたしに「自分だけにして欲しい。」って真面目に頭下げて告白してきたのは健太の方だったのに。たった1回の亜嵐くんとのデートが健太にバレてから2週間後の今日、あたしの家の鍵が返却された。

別れようって口にしなかった健太の、無言の悲しみがこの鍵に詰まっているんだって。だったら別れようって言えばいいのに、こんな事されて後味悪い…

―――健太だけは、あたしから離れることはないって思ったあたしが、馬鹿だったの?

悔しいからあたしから連絡なんて絶対にしないんだから。