「元気ない?どうかした?」
相変わらずかっこいい土田。どっから見ても文句無しの男前。年上でお金もそこそこ持ってて女の扱いも慣れてる。あたしの我儘もなんて事ないって顔で受け止めてくれる。
「…今日は帰ろうかな、」
本当にそう思っているわけじゃなくて。決まってそう言うと健太は「え、無理。やだ。健太寂しい。」なんて甘えてきて。それが見たくてそんな言葉を言ったことも何度もある。
だから土田も、「そ。んじゃ送るよ。」あっさりそう言われて上着を羽織る。だからあたしは首を横に振る。その瞳からは自分の意思とは無関係な涙が零れていて。
「ほら、腹ん中のモヤモヤ吐き出せよ。」
大人の男、土田は何もかも分かっているのかなんなのか、泣きだすあたしをふわりと抱きしめた。
ずっと憧れていた大人の付き合いなんて、あたしには向いていない。
出会った時からどこかでずっと健太と比べていたんだ。
この人ならそんなあたしの事も受け止めてくれるって。
受け止めるのと、愛すのじゃ違くて。
あたしに必要なのは健太の愛し方、それしかないなんて。
「でももう遅い。健太彼女できそうって、」
「…そうなの?てかどこ情報よ、それ?」
「青山。莉子の彼氏と健太仲良くて。だから間違いない。」
「じゃあ俺が一生一緒にいてあげようか?」
「………てっちゃん、」
「言ったろ、香澄のこと、可愛くてタイプだって。健太以上に香澄のこと愛してあげるよ。」
うんって頷けばあたしの幸せはきっと約束された。だけど何かが邪魔してどうしても頷けなかったんだ。
自分で思う以上にあたしは、健太を愛しているって、もう遅い今更気づくなんて。