「ハルー!おかわりー。」
「…雪乃さん、今日はもうやめといたら?」
「は?おかわり!早く持ってきて!」
私の手から仕方なくグラスを取ったハルが眉毛を下げたままカウンターのマスターに「同じもの、」そう言うと「やめとけば?もう。」カウンターの端で肘をついてこっちを見ている金髪。
仕事の愚痴で飲んだせいか、妙に進んじゃって結構酔いが身体に回っているせいか、そこにいる金髪が物凄いかっこよく見える。
「…誰あんた?」
でも、顔のいい男はつまんないって相場が決まってる。だいたいが話もつまんなくて、セックスするにはいいけどそれだけの男ばかりで、だから私はそんな男には興味は持たない。
「名乗っても分かんないでしょ、そんだけ酔ってたら今の俺との会話も忘れるだろ、明日には。」
呆れた顔でそう言われて、まぁそらそーか!って。
「そうね。でも忘れるなら教えてよ?私には今あんたは正直かっこよく見えてる。」
「…へぇ、素直。んじゃそっち行っていい?」
「どーぞ。」
カウンターに手をついて立ち上がった金髪はスっと立ち上がる。わ、背高い。モデル?
カタンと隣に座った金髪は「顔は可愛いよね、あんた。」なんて余裕の顔。
「雪乃さん、危険な香りがするよ、この人。」
反対側からハルが私の腕にギュっと絡みついてそんな言葉を耳元に飛ばす。確かに危険かも。
でもね、ハル…―――たまにはそんな危険も必要だと思わない?
「ハルは1人で帰れるよね?」
ニッコリ微笑んで髪を撫でると涙目でぶんぶん首を横に振っている。
「帰れない、雪乃さんいないと!」
「大丈夫、そのでかいおっぱい見せりゃそこら辺の男が送ってくれるから。」
「やだよー。見せたくないよー。てか雪乃さんがいいよ!」
「でも私、この男に興味がある。」
立ち上がろうとしてカウンターに手をつくけど、足元がフラついてフラっとバランスを崩した。だけどすぐに金髪の腕が私を支えて。
「歩けねぇじゃねぇか。」
「…歩けるわよ。」
「いいから、捕まっとけ。」
男に命令されるのは嫌い。そーいう態度とられるのも本当は好きじゃないのに、なんでだろう、この金髪は心地よくて悪い気がしない。
加えてワンナイトは正直好きじゃない。でもこいつにならこのまま騙されて遊ばれても構わない、なんて思える程に。
フラつく私の腰に腕を回した金髪は、迷うことなく私をホテルに誘い込んだんだ。