この質問をチャンスととるか、最悪ととるかで私の未来も変わる。
「えーっと...亜芽ちゃん彼氏いなかった?」
とりあえず気になっていることを聞いたら明らかに面倒くさそうな顔をする亜芽ちゃん。
「今マンネリで。」
髪の毛の先を指でクルクルもてあそびながら唇を尖らせる亜芽ちゃん。...マンネリだから颯ちゃん?ちょっとかっこいいから颯ちゃん?
「ほら中島さん歌も上手いし、物知りだしグルメだし、奢ってくれるし、送ってくれるし、見かけによらず紳士だし、なんかいいですよねぇ。」
...なるほど、家まで送り届けたんだ。ふうん。無性に腹が立ってきた。ふぅ、と一つ大きく息を吐き出すと私は亜芽ちゃんに向かってニッコリと微笑んだんだ。
「颯ちゃんだけど、肉なり焼くなりお好きにどうぞ。私には関係ないから。」
悔しくて言ったそばから後悔するって分かってるのに、くだらないヤキモチでまた私は自分の気持ちを隠して嘘をついたんだ。もう一生幸せになんてなれないかもしれない、なんて大袈裟な事を本気で思いながら。
「え、何してはるんですか?」
定時も過ぎて奥田くんのそんな声にハッと顔を上げた。パソコン画面を見て苦笑いの奥田くん。
「うーん、まぁ。」
「え、ゆき乃さん、転職しはるんですか?」
思わず見てしまった転職サイト。だってなんか、このまま亜芽ちゃんと颯ちゃんがうまくいくのなんて見たくないし、飛んじゃう?って。
結局逃げ、なんだろうけど。
「ちょっと考えてるだけ。気にしないで。」
「いや気にしますよ、そんなん。ほんまにどうしたんですか?颯太さんとうまくいってへんのですか?」
「別に付き合っちゃいないもん、あんなスケベと。」
亜芽ちゃんのインスタを思い出してついそんな言葉を口に出してしまった私の前、営業から戻った颯ちゃんがフロアに入ってきたんだ。
やば、聞かれた?
「...男はみーんなスケベやろ。」
ポンと私の肩に触れた手に嫌悪感。亜芽ちゃんに触れた手で同じように私にも触れないでよ!
...気づくと私はその手を振り払っていて。さすがに奥田くんも吃驚した顔を見せる。当の颯ちゃんは不審な顔で私を見ていて...
「なに?今、払った?」
もう一度伸ばした手を今度は空中で振り払った。
「触んないで。颯ちゃんなんて嫌いよ。」
大好きなのに、本当は大好きで苦しくて嫉妬して馬鹿みたいにやっぱり苦しくて。素直に一言「好き。」って言えたらいいのにそんなこと全然言えなくて意地張って強がって関係ないって言っちゃって、もうぐちゃぐちゃ。馬鹿みたい。でもこんな風にしか生きられない。
こんな私、誰にも受け入れられないよね。