episode 04


「家どこだっけ?」

「あーうん」

「え?どこ?」

「うん…」

「え?勇征くん?」

「うん。あのさ…」

「んー?」

「あ、ドライブしない?俺行きたいとこあって…」



……ドライブ?行きたいとこ?

ジロッと見つめる私にニッコリ笑顔の勇征くん。

離れがたい?

このまま帰りたくない?

もっと一緒にいたい?

そーいうこと?

口にされたわけじゃないけど、今日の流れとか、今目の前にある表情でそうかな?って思えてしまう。

さっき、肉を食べよう!って私を気軽に誘った時とは大違いでちょっと可笑しい。

可笑しくて…―――可愛い。



「行きたいとこ?」

「うん。あ、でも俺ん家でも…飲み直さない?ほらゆき乃さん車だからって飲んでないじゃん!俺ん家なら飲んで明日帰ればいいじゃん!明日は休みだよね?」



今日は主婦たちの為にわざわざ有休取ってお祝いに参加した。

基本週休二日制の私は土日は休みなわけで。

もっと言っちゃえば、黎弥は今週いっぱい出張で帰りは日曜日だって言ってた。



「でも黎弥が…」

「近々別れる予定とか…?」

「ないけど…」

「分かったじゃあ…今日だけ…」



女みたいにボソッと小さく呟いたんだ。

分かりやすい、ていうか、分かりやすすぎない?

悪い事だって分かってるけど、あまりに勇征くんが可愛いせいで、罪って気がしない。



「黎弥と別れろって、言ってる?」

「言ってないけど、別れたら俺んとこきて」



もう可笑しくて。

助手席の勇征くんの太股をちょっといやらしく撫でて、車を発進させた。



「ナビしてね?」

「え?あ、うん!マジで?いいの?」

「今んとこ7割。家につくまで3割埋める自信ある?」

「すげぇ、ある!」



物凄い嬉しそうな顔で、だけど少年みたいな笑顔で顔を寄せて私の頬にチュッと口付けた。