「家どこだっけ?」
「あーうん」
「え?どこ?」
「うん…」
「え?勇征くん?」
「うん。あのさ…」
「んー?」
「あ、ドライブしない?俺行きたいとこあって…」
……ドライブ?行きたいとこ?
ジロッと見つめる私にニッコリ笑顔の勇征くん。
離れがたい?
このまま帰りたくない?
もっと一緒にいたい?
そーいうこと?
口にされたわけじゃないけど、今日の流れとか、今目の前にある表情でそうかな?って思えてしまう。
さっき、肉を食べよう!って私を気軽に誘った時とは大違いでちょっと可笑しい。
可笑しくて…―――可愛い。
「行きたいとこ?」
「うん。あ、でも俺ん家でも…飲み直さない?ほらゆき乃さん車だからって飲んでないじゃん!俺ん家なら飲んで明日帰ればいいじゃん!明日は休みだよね?」
今日は主婦たちの為にわざわざ有休取ってお祝いに参加した。
基本週休二日制の私は土日は休みなわけで。
もっと言っちゃえば、黎弥は今週いっぱい出張で帰りは日曜日だって言ってた。
「でも黎弥が…」
「近々別れる予定とか…?」
「ないけど…」
「分かったじゃあ…今日だけ…」
女みたいにボソッと小さく呟いたんだ。
分かりやすい、ていうか、分かりやすすぎない?
悪い事だって分かってるけど、あまりに勇征くんが可愛いせいで、罪って気がしない。
「黎弥と別れろって、言ってる?」
「言ってないけど、別れたら俺んとこきて」
もう可笑しくて。
助手席の勇征くんの太股をちょっといやらしく撫でて、車を発進させた。
「ナビしてね?」
「え?あ、うん!マジで?いいの?」
「今んとこ7割。家につくまで3割埋める自信ある?」
「すげぇ、ある!」
物凄い嬉しそうな顔で、だけど少年みたいな笑顔で顔を寄せて私の頬にチュッと口付けた。