文化祭当日。
普通の高校なら1日目は校内のみ。2日目は開放して一般客も受け入れるんだろうけど、我が校では文化祭自体は残念ながら全く盛り上がりを見せない。
ゆえに校内のみで行われる。
そもそも他校の生徒なんてきたらただでさえ喧嘩ばかりなのに、余計な被害者が増えるだけだ。ただ、卒業生だけは毎年自由に出入りできるようになっていて、だからこそ今日はわたしが一番活躍する日と言っても過言ではないのかもしれない。
「先生未来診てやって!」
ほら、さっそくきた。
振り返ったわたしのところ、両サイドから抱えられている真っ赤な髪の1年生、深堀未来がぐったりした様子で運び込まれた。
「どうしたの?」
「3年と喧嘩で…、」
ドサッて1番奥のベッドに降ろされて顔に手を当てたまま足を交差していて…
「深堀くん、ちょっと腕外すよ。」
顔に当てている腕を外そうと手をかけた瞬間、何故かくるりと反転してわたしがベッドに背を付けるはめに。
はっ!?なにっ!?
てか今までいた奥田と砂田の姿なんてもうどこにもなくて、息がかかる距離で深堀くんに押し倒されている。
「ちょっと、なにすんの、どいて!」
「やだね。いっつも神谷に邪魔されて俺ここにも近づけなかったんだよ?だから一発殴らせてここに来た。」
「よく分かんないけど、いいからどいて!」
ふわりとわたしの頬にかかった髪を細くて角張った指で優しくとかした。
1年のくせになにこのエロさ!
「…やっぱ近くで見ると可愛い。」
ニコリと笑うその顔にドキンと胸が脈打つなんて。
「俺知ってるよ。朝海先生と岩田が本当は付き合ってないってこと。恋人ごっこ、でしょ?理由は…ネコが生徒とそうならないように!って、ゆき乃先生が決めた。」
「…なんで、それを、」
ネコなんて呼び方ゆき乃先生しかしないのに。