思わず言葉を止めて深堀未来を見つめあげるとそれは一瞬の出来事で…
「やめっ、」
「ダメ。」
腕を頭の上で押さえつけられてまた降りてくる。だけどすぐに押さえていた手を離して「おっと無理やりは嫌い、そうだよね?」…なんなの!?
「もう解禁されてるんだよね?俺を見て。ちゃんと見て。岩田にも神谷にも誰にも負けないぐらい朝海先生が好き。」
馬鹿じゃないの!有り得ないよ!そんな顔で、そんな愛おしいものを見るような甘い顔でズルい。
「深堀く、」
「未来!未来って呼ばなきゃ返事しない。」
…「未来、くん…」…気づくとわたしは手を未来の頬に添えていて、未来の瞳が熱く揺れた、気がした…
「深堀!ぶっ殺すぞ!!!」
そんな声と同時、未来が思いっきりくるりと回転してベッドから転がり落ちた。
健太の飛び蹴りが見事に脇腹に入った。思いっきり顔を顰めて脇腹を押さえる未来に慌てて駆け寄った。
「大丈夫!?神谷くんなんてことするのっ!」
「こっちの台詞。本気で怒らせやがって、クソが!」
ドスのきいたド低い声でそう言うと健太はわたしを退かして未来の胸倉を掴んだ。
額が触れそうな距離で「朝海のこと本気なら講堂まで来い、勝負してやる!」それだけ言い放つと思いっきり未来を離して保健室から出て行った。
すぐ様入ってきたのは、奥田と砂田。どうやら顔を見ると何発か殴られた痕があって…
「未来悪い、バレてもーて。」
砂田の言葉に未来が脇腹を押さえて立ち上がったんだ。
でもその顔はなんていうか楽しそうで。
「やっと正々堂々戦える。」
そう言うとくるりとわたしを振り返った。
「俺絶対勝つから!勝ったらご褒美ちょうだいね?」
「え?」
「さっきの続き。」
パチッてウインクをする未来は意気揚々と保健室から出て行った。
と、同時にゆき乃先生が入ってくる。
あぐらをかいて座っている砂田なのか奥田なのかを見てほんの少し目を泳がせた。
「大丈夫?」
スッとしゃがんで奥田のピンク色の頭を撫でる。
「へーきへーき、どうってことないわ、こんなん。」
「ほんと?」
「ほんまに。心配そうな顔せんといてな、」
ポンポンってゆき乃先生の頭に手を乗せる奥田を、なんて事ないって顔で見守る砂田。
いや、おかしいよね?
「しぇんぱい?」
「ネコ行くよ。今から神谷と深堀がネコをかけて1on1やるから。…やばい私、こーゆーの大好き!」
わけも分からず、聞きたいこといっぱいあるのにゆき乃先生に引っ張られて講堂に足を踏み入れたんだ。