ピーって笛の音と同時、未来が放ったシュートがゴールポストをクルクル謎ってシュッと網を通って落ちた。
ポンポン…弾むボールと、重なるように講堂のフロアに足を投げ出す未来と健太。
「30対30の引き分け!よってこれより、サドンデスのフリースロー対決で勝敗を決めたいと思います!」
いつの間にか審判をかって出ていたのか、健太とよく一緒にいる青山陸がそんな言葉を発した。
「わお!!ネコをかけてフリースロー対決だって!」
キャッキャッ!って、子供みたいにジャンプするゆき乃先生。でもすぐにニコッて微笑んで耳元で小さく言ったんだ。
「もう決まってるんでしょ?」
「ゆき乃しぇんぱい後で話ある。」
「話逸らしたね、ネコ。」
「色んな情報が漏れてたの、おかしいでしょ?」
「ふふふ。私は自分の気持ちに素直なだけだもの。」
微笑むゆき乃先生は可愛くて。これが恋のパワーなのか?と思えた。
「ムウ。ネコも素直だもん。」
「ふは、それでこそネコだよ!」
ゆき乃先生が嬉しそうに笑うから、素直になれる。
あんなに健太だった心がたった一つのキスでこんなにも変わるなんて。
見つめる先は先行でフリースローを打つ健太。
もうバテバテだけど、それでも一つ大きく息を吐き出した健太は一度わたしを見つめると強い目でゴールに視線を戻す。
ポンっと一つバウンドをさせたボールを手にシュッとゴールに向けて放った。
綺麗な円を描いて何にぶつかることもなくストンとゴールをすり抜けた瞬間、健太派の応援団から歓声があがった。
力強くガッツポーズをする健太の後ろ、退けと言わんばかりの気合いたっぷりな未来が真っ直ぐにゴールを見つめて立った。
これがもし外れたらわたしは…
「大丈夫、俺が絶対に勝つ。」
こちらを振り返ることなく未来がそう言ってボールを放った。
お願い!入って!!
強く願ったそれが届いたのか、後ろのボードに当たってスポンとゴールをくぐり抜けた。
その瞬間、ギャラリーの砂田と奥田が小猿のようにキャッキャッと騒いでいるのが見えた。
ホッと胸をなでおろしたわたしに、健太の2発目が放たれる。
「クソッ!!!」
コースが完全に狂ったのか、ボードに当たってゴールに入ることなくバウンドを繰り返すバスケットボール。
「チャンス到来!」
楽しそうにそう言うと未来が立ち上がる。わたしを見ることなくそっと目を閉じて呼吸を整える。
一瞬の静寂の後、未来がボールを放つ。
まるでスローモーションの様にわたしの瞳に映るボールは、大きく円を描いてシュッて音を慣らしてゴールをくぐり抜けたんだ。
「よっしゃ!!」
未来の声と、湧き上がる歓声!最高の展開!!