episode 04


「なんだ、意外とどんくさいなぁ、汐莉!」




ファミレスからの帰り道。

私となっちゃんと颯ちゃんは同じ方向で。

ゆき乃ゆせくんカップルと黎弥、それから慧ちゃんは正反対の為だいたいこの二人が送ってくれる。

なっちゃんの自転車の後ろに乗っかった私にまさかのそんな言葉。

隣で颯ちゃんもクスクス笑ってる。




「俺達聞かんようにしとったけど思いっきり耳ダンボにしてたよね」

「そうなのっ!?って、やめてよもうー」




颯ちゃんの言葉になっちゃんの肩をポカポカ軽く叩く。




「せっかくのチャンスを無駄にするなんて。慧人言ってたじゃん!汐莉先輩と付き合えたらもっと嬉しいって…。わたしもって言えばよかったんじゃないのー?」

「もー簡単に言わないで!言いたくてもアンタ達のいる前で言うわけないでしょ?」




言いながらもう一度なっちゃんを叩く。




「俺聞きたかったなぁ、汐莉の告白!」

「もう颯太ちゃん!人事だと思って!」

「ごめん、ごめん!でもまぁ楽しんどるけど、な?なっちゃん!」

「うん。いーじゃん勇征とゆき乃みたいに堂々とラブラブしちゃえば!」




信号で止まって振り返ってそんな言葉を飛ばすなっちゃん。

チュッパチャプスを咥えている颯ちゃんとはここでお別れ。




「ほんなら汐莉頑張ってな!俺も応援しとるから!」

「…ありがとう。颯ちゃんまたね!」

「おん、なっちゃんもバイバーイ」




手を振る私に大きく振り返して颯ちゃんが曲がった。




「うちのファミレス、慧人よく来るじゃん俺らと一緒に。だからそれ目当ての子、結構いるよ。コソコソ話してるのとか聞こえるし。せっかく両想いなんだから早く言いなよ汐莉の気持ち。うかうかしてると誰かに取られるよ?」

「……やだ。絶対いやだ!」




分かってはいたけど、いざそういう話を聞くと心が落ちた。

私達まだ付き合ってもいないのに、慧ちゃんのこと独り占めしたいなんて。

ねぇ慧ちゃん気づいて…

私の気持ちに。



―――――そんななっちゃんの予感は翌日ものの見事に当たってしまうなんて。




金曜日のお昼休み。

教室でゆき乃とお弁当を食べていると、そこに学食から帰ってきた黎弥たち。

後ろに慧ちゃんがいるのを見て途端に笑顔になる私。

今朝は逢えなかったから嬉しい!なんて。

でもそのすぐ後ろ、なっちゃんの呆れたような顔と、数人の女子……

知らない顔だから1年?




「明日のハロウィン、慧人のクラスメイトも来たい!って、どーする?」




黎弥が見ているのは私。

待ってよ、もしかして私の返答しだい?

超困る!

思わずゆき乃と目を見合わせた。

ゆき乃はニコッと微笑むと、その顔を真顔に戻してから1年の女子達を見た。




「なんで?なんで知らない子と?仲間うちのパーティーだから遠慮してほしいんだけどー」




ナイスゆき乃!

思わず顔が綻んだものの、1年女子達もそうそう引く気はないのか…




「ズルイです先輩達。うちらだって慧人くんと仲良くしたいし、瀬口先輩や八木先輩達とも仲良くした……」




「八木先輩」って言葉に物凄い形相でゆき乃が1年を睨む。

そんなゆき乃を見てなっちゃんは隠れて後ろで爆笑していて。

颯ちゃんが、真面目に「まずいって」なんてジェスチャーをしているのが見えた。




「八木先輩は特に無理です」




ゆき乃がド低い声でそう言うと、ゆせくんはヘラヘラ笑いながらゆき乃の傍にやってきて「ごめんね、俺の彼女ヤキモキ妬きだから。俺もこいつ以外興味ねぇんだ」キュンとするような事を言うと、黎弥の背中を押して続けた。




「黎弥くん彼女募集中だから!なっちゃんと颯太も!」




完全に友達売っちゃってるゆせくんに内心爆笑したものの、本当にうかうかしてられないって。

私は立ち上がると慧ちゃんの所に駆け寄った。

キョトンと大きな目で私を見返す慧ちゃん。

そんな慧ちゃんの手を掴むと1年女子に視線を移した。




「ごめんね、今回は遠慮して!それから慧ちゃんの彼女もヤキモキ妬きだから無理だと思う!」




私の言葉にギョッと目を見開く1年。

それから慧ちゃんに視線を移して「彼女いるの?」恐る恐る聞いた。

慧ちゃんは私をジッと見つめてからコクっと頷く。




「うんいる。ごめんね。またクラスのみんなで一緒に遊ぼう!それぐらいはいいのかな?」




チラリと私を見つめる慧ちゃんに「それぐらいは仕方ないけど…」本当はあんまり絡んで貰いたくない。




「まぁ、また誘って!とにかく明日はごめん。先輩達も個人的に誘ってみて!俺を通さないで!あ、勇征先輩は無理みたいだから!」




しぶしぶ帰っていく1年生。

ちょっと悪いことしちゃったかな?って思うけど、やっぱり慧ちゃんが私以外の子と仲良くするのは嫌だった。




「女ってすげーな!」




感心したように颯ちゃんがチュッパチャプスをクルクル回している。

だけどその目はニヤついて私と慧ちゃんの繋がった手を見ていて。




「あっ!」




思わず我にかえってその手をパッと離した。

でも、離した手をふわりと握る慧ちゃんにドキッとする。




「汐莉先輩!中抜けしよ!」




真面目だと思っていた慧ちゃんに腕を引っ張られて、お弁当も食べ途中だったのに校舎内から連れ出された。