「直人さんのこと、ゆせに話したのはネコでしょ?どうしてそんな悲しい顔するのよ?」
私の言葉にやっぱり眉毛を下げるネコ。
「それは…、」
俯いて黙りこくってしまったネコはギュっと唇を噛み締めている。
「直人さんになんか言われてた?私のこと。」
「…ちが、」
「いいよ、もう。置いていかれる私のこと考えて最善の方法を考えて残してくれるような人だって分かってるから…。哲也先輩やネコにはきっと私のこといっぱい色々任せてくれてたんだよね?」
「…そんな風に想い合ってるのに、なんで?ゆせくんは確かに救世主かもしれないけど…ちょっと後悔しました、ゆせくんとこうなるって知ってたら、何一つ教えてあげたくなかったよ。」
大きな瞳から零れ落ちそうな涙…。人の為に泣けるネコは、見かけに寄らず優しいのね。
「あのね、直人さんもうガールフレンドいるの。それが確認できたからゆせを受け入れた。だからネコも、もうその肩の荷降ろして楽になって。哲也先輩とこれからも仲良くやっていってよ。ね?あ、ゆせ!」
ちょうど制服に着替えたゆせ達研修生が近くまでやってきた。手を振る私に笑顔で駆け寄ってくるゆせ。
「どうしたの?」
「ん〜ちょっと打ち合わせ。」
「どう?制服、似合ってる?」
子供みたいにクルって回って見せるゆせは可愛い。
「うん、かっこいい。」
「ほんと!?」
「うん。」
「全然似合ってねーし、かっこよくねーし、」
顔を背けて毒を吐くネコを苦笑いで見下ろすゆせ。
「立花さん、態度違くねぇ?」
「ゆせくん嫌い。」
「なんで?」
「なんでも!ここやだ。雪乃さん戻ろう。」
スッと立ち上がったネコは私の腕を掴んでゆせの前から遠ざける。でもキュって指を絡めたゆせは、ネコと反対側「終わったら連絡するね。」耳に唇をくっつけてそんな甘い囁き。ちょっと照れる私にほんのりエアーキスなのかアヒル口を披露してそのまま研修に戻って行った。