逢いたかった人の帰国3


「雪乃、ごめん。」


ウェディング部に戻るとえみが心底困った顔でそう言ってきた。私は首を横に振って「結婚、よかったね!」えみと岩ちゃんの結婚は素直に嬉しいもの。


「ありがとう。」
「…知ってた?直人さん帰ってくるって。」


私だけ、知らなかったのかな?って。哲也先輩は確実に知ってるんだろうし、そしたらきっとネコも知ってる。でもあえて私には伝えなかったのは、直人がそう言ってたのかもしれない。みんなに口止めして私には知らせなかったのかも。岩ちゃんも知ったふうだったし。

苦笑いで小さく息を吐き出したえみは、コクっと頷いた。


「あ、でも剛典くんから聞いただけで。どうしても雪乃に言えなくて。…今は勇征くんが傍にいるし、勇征くんの気持ちも大事にしたかったから。」


直人に逢いにロスに行って、結局逢えなくて、もうガールフレンドがいて、日本に戻った私を待っててくれたゆせのこと、ゆせとそうなったことも全部えみに話したから。いつだって私の気持ちに寄り添ってくれるえみは、ゆせの事もちゃんと認めてくれていた。


「そんな事言われて、されたら…好きになるよね。雪乃が勇征くんに惹かれるのも分かるよ。」


すごくすごく直人との事も心配してくれてたから、私の大きな一歩を共に喜んでくれてすごく嬉しかった。


「どうして今更なんだろう、直人さん…。直人さんが何考えてるのか全然分からないや。」


隣のえみは苦笑いをすると赤いグロスのついた口をそっと開いた。


「今更…じゃないんじゃないかなって、思うの。…本当の本当は、ずっと雪乃を迎えに来るつもりだった…―――違う?」


そんなの、分からないし…「今更。直人さんの事は、すごくすごく大好きで愛してた。でも今はゆせがいるから、困る。」


迷惑…そうハッキリと言えないくらい、本当は心の中に直人が残っているかもしれない事に無意識で蓋をした。

私は今、ゆせとの未来を見ている。

ゆせしか見ていない。