「研修疲れた。」
ぐったりしたゆせがしっかり定時でウェディング部に私を迎えに来た。社内では直人が戻ってきたことで持ち切りで、ゆせの耳に入っているかどうか…
「体力ない?」
「体力より気力が…雪乃に癒されたい。」
子犬みたいにデスクにだらんとするゆせが可愛くてふわふわの髪に触れると上目遣いでアヒル口。弱いな、その顔。
「早く帰ろうよ。」
「うん。」
パソコンの電源を消して立ち上がった私は隣のデスクのえみに視線を投げる。
「えみ、また明日。」
「うん、お疲れ様。勇征くんも研修お疲れ様!」
「ありがとうございます!あ、えみさん。雪乃今日大丈夫でした?」
突然えみにそんな言葉を投げかけるゆせに思考が止まる。何、言ってんの?見上げたゆせは、私を通り越してえみを見ていて、
「え?どういう、」
「来週からの僕らの研修担当が挨拶に来ました。」
「直人さん?」
えみの言葉にコクっと頷くゆせ。やっぱり…てゆうか、研修担当だったなんて。
「僕、雪乃を渡す気も負ける気もありませんので。」
「ゆせ?」
「雪乃の寂しさ知ってるのは俺だから。雪乃にあんな顔させた奴に負けない。」
胸の奥がドクンと脈打つ。ネコに聞いたの?とか、色々一瞬で脳内を巡ったけど違う。私が受け止められない事も、ゆせはちゃんと受け止めて前を向いているなんて。
なんて、素敵な人なんだろうか。
苦笑いでえみが私を見つめる。
「それは安心。雪乃の事、よろしくね!」
「はい!」
元気よく答えたゆせが私の腕を掴んで、そこに指を絡めた。